IF② 第5話 情熱
「先名さん!? どうしました?」
「
俺も思わず先名さんを抱きしめ、再びキスをした。まさかこんなにも情熱的だとは。これもまた先名さんの素の部分なんだろうか?
この日はこれで終わり、先名さんをマンションまで送った。
俺達は今、仕事終わりにカフェに来ている。先に俺と彼女が待っていると、あとの二人が姿を見せた。
「先名さん、お待たせしました! ついでに桜場も」
「俺はついでかよ……」
「先名さん、お待たせしましたぁ! ついでに桜場さんも」
「
「フフッ、やっぱりこの四人だともっと楽しいわね」
四人がけのテーブルで俺の左隣に彼女、正面に
「それで私と加後ちゃんに話って何?」
「実は俺と先名さん、付き合うことになった」
俺がそう言うと、二人はすぐにこう言ってくれた。
「桜場、やるね! 先名さんを彼女にするなんて」
「桜場さんにはそんな度胸ないと思ってました!」
「何気に加後さん俺に酷くない?」
「やだなぁー、冗談ですよ! おめでとうございます!」
二人とも快く祝福してくれた。
「桜場からアプローチしたわけだね」
「俺、まだ何も言ってないんだが……。当たってるけど」
「だって先名さんのほうから惚れるなんて、おかしいもんね」
「二人とも俺に厳しすぎる」
「だって私達の先名さんを独り占めするんだから、これくらいはね。ね、加後ちゃん?」
「そうですよ。泥酔した私は誰に抱きつけばいいんですかー?」
「自覚はあるのか……。加後さんはもう少しお酒を控えようか」
「むうぅぅ、その話は今関係ないじゃないですかー」
「さっきの自分の発言をもう忘れるなんて、逆に凄いな」
「大丈夫よ。桜場くんの彼女になっても、私は『みんなのお姉さん』だからね」
「やっぱり私、先名さん好きです」
「私もでーす。先名さん大好き!」
「もう、困った後輩なんだから」
「俺も先名さんのこと好きです」
「もう! 桜場くんは言わなくていいの!」
その後も四人で本当に楽しい時間を過ごした。俺は改めて、この三人と出会えて良かったなと思った。
それからしばらく経ち、いつも通りデートの終わりに彼女をマンションまで送った駐車場でのこと。
「送ってくれてありがとう」
「やっぱり一日って早いですね」
俺はまだなんとなく敬語を使ってしまう。
「ねえ、四人でスイーツを食べに行った帰りのこと覚えてる?」
「もちろんです。あの時、俺にここが家だって教えてくれましたよね」
「覚えててくれてよかったわ。それでね、私は『私の部屋に入りたい?』って聞いたのよ」
「それに対して俺は『もう少し仲良くなってから』と答えました」
しばらく沈黙の時間が流れる。
「先名さん、俺達ってもう結構仲良くなってますよね?」
「そうね。デートもしてるものね」
「俺……まだ先名さんと一緒にいたいです」
「嬉しい……。ちょうど私もそう思ってたの。もしよかったらだけど、私の部屋に寄ってから帰る?」
「そうさせてもらいます」
そして俺と先名さんは、朝まで一緒の部屋で過ごした。
そして二年が経ち、俺と彼女は一緒に暮らしている。違った、妻だ。
職場の超美人お姉さんが結婚するという話を聞いた人全員が、驚きながらも祝福をしてくれたらしい。それも今までの人徳あってのものだろう。
相手が俺だということも、関わりのある人には報告したらしく、俺はちょっとだけ職場内で有名になった。
「今日は同島と加後さんとで女子会だっけ?」
「私がもうすぐ産休に入るから、あの二人には迷惑かけてしまうからね。今日はなんでも言うことを聞くつもりよ」
「やっぱり面倒見がいいよな」
「あら? 私は『みんなのお姉さん』よ。忘れたの?」
「みんなといる時はそうだけど、俺と二人でいる時はなんだっけ?」
「もう! いつも言わせないの。二人でいる時は、『あなただけを大好きなお姉さん』よ!」
【IF② END】
—————————————————————
【あとがき】
ここまで読んでくださりありがとうございます! もしかしたらあったかもしれないルートが二つとも終わりました。全員分のルートを書くことは予想外でした。
この作品は6月下旬からスタートしましたが、告白シーンを終え更新頻度が落ちても、更新日にはPVが増え、応援もいただき、今も最新話を追ってくださる方がいることが本当に嬉しいです!
次からは本編に戻りますが、桜場君の彼女は同島さんです。もう少しだけ続きます。見せ場が全部終わった感がありますね! よければ引き続きよろしくお願いします。
猫野 ジム
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