バレる
女であると嘯いて宮殿内に居座っているオクタヴィウスと、その彼が浸かっているお風呂に入り込んできたアルシノエ。
「……」
「ふんふんふーん」
その二人が同居する浴場の中でオクタヴィウスは冷や汗を流す。
「(ヤバい……のぼせる)」
鼻歌を歌いながら体を洗い始めてしまったアルシノエに対して、既にもうかなりの時間湯船へと浸かっているオクタヴィウスはのぼせる寸前であった。
もう既に出たいのだが……この場で出てしまえば自身のいちもつをアルシノエに見られてしまう。
その思いからオクタヴィウスは湯船より出ることが出来ないのである。
「それじゃあ、隣に失礼するわね」
そんな風に湯船へと浸かっているオクタヴィウスの横に立ったアルシノエがそのままゆっくりと足をお湯につけようとする。
「……そういえば、貴方って毛とか生えるの?」
その途中で。
ふと思い至ったから、とでもいうような態度でアルシノエがオクタヴィウスの首根っこを掴んでそのままからの体ごと湯船から引き上げる。
「はぁっ!?」
あまりにも唐突過ぎる行動に対し、オクタヴィウスは何の反応も取ることが出来なかった。
「えっ……?」
「……っ!?」
湯船から持ち上げられたオクタヴィウス。
そうすることによって、アルシノエの目に映ってしまうのは彼のいちもちつであった。
「はぶんっ!?」
それを一目見た瞬間、アルシノエはほぼ反射的にオクタヴィウスの首筋から手を離す。
「えっ?えっ……?は、はぅっ!?」
動揺し、頬を赤らめ、思考が停止しているアルシノエの前で。
「(ど、どうする……?な、何をするか!?ここで相手を始末するか……いや、そんなことしたら問題になるのは不可避。誤魔化すのだって無理……だよな。アルシノエが側近にこの風呂へと行ってくるなんて言っていたら終わりだ)」
オクタヴィウスもオクタヴィウスで動揺しまくっていた。
「お、男……?」
「……っ」
アルシノエの言葉にオクタヴィウスは否定せず、沈黙する。
まったくもってその言葉の通りであった。
「な、何をしているのっ!?あ、なた。女って話だったじゃない。そ、そんなの詐欺師じゃないっ!何のつもり!?」
そして、それを受けてアルシノエはオクタヴィウスを糾弾し始める。
「……ね、ねぇ」
それに対して、オクタヴィウスは声を震わせながらも口を開く。
「何よ?詐欺師……」
「一緒にクレオパトラを追い落とさない?」
「……はっ?」
そして、そのままオクタヴィウスはアルシノエに対して、一世一代の賭けに出るのだった。
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