第14話 2人で1人
「…よいしょ…っと。」
大体は干し終わったし…そろそろトウマも出てくる頃だろ。
ベランダを出て部屋に戻りドアへと歩く。
カサッ…
「ん…?」
なにか蹴った感覚がありふと後ろの床に目をやる。
そこには綺麗に2つに折られた紙と小さな手帳が落ちていた。
「これって…」
2つを拾い上げて恐る恐る中身を覗く。
紙の方は手紙のようで、多分…トウマに宛てられたものだろう。
「んじゃあこの手帳も…」
中身は身分証明証らしきものだった。
帝国の外を知らない俺でもこの身分証明証が公国のものだということは一瞬にして理解できた。
-----
氏名 トウマ・スピネル
階級 少佐
年齢 17
性別 男
出身 ブリスタン
配属 秘密情報部
-----
洗濯物の中から落ちたとするなら、トウマは肌見放さずこの2つを持ち歩いていたことになる。
こんなもの持ち歩いていたら自分がスパイだと自白しているようなものだろうに。
「ま、とりあえずトウマに返すか…」
そう思いドアへと足を進めた。
ガチャッ―
「あっナギ。用意出来たよ。」
部屋を出るとちょうどトウマがドアの隙間からひょっこり顔を出していた。
「…トウマ。」
「ん?どうしたんだい?」
「ん…これ。おまえのやつ。」
中を見てしまったせいか、後ろめたさを感じつつ手渡しする。
「これ探してたんだよ〜あはは」
「って…全然笑い事じゃねぇよ!あと…その…もう失くすなよ!」
「…ありがとう。でも僕が失くしてもナギが拾ってきてくれるんでしょ?」
「…お、おまえはまたそうやって…」
「冗談だよ。これからは気をつけるね。」
俺達2人は一緒に階段を降りて玄関のドアを開けた。
大通りに出ると太陽の光が眩しいほどに照らされ目が眩む。
「確かナギには案内してくれる宛があるんだっけ。」
「おう…会えるかわかんねぇけど。まぁとりあえず行くか。」
「うん。それじゃあ僕はナギについて行くから、案内よろしくね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます