第12話 革命
「革命。」
時折外から聞こえてくるけたたましい轟音は、カタリナの心を不安で埋め尽くしていた。それでもカタリナは首を横に振り、自分に言い聞かせた。ロシェを信じると決めたのだから絶対に振り返らないと。そうしてサウンズロッド内部をただひたすらに駆け上がっていた。内部は侵入者を拒む構造で、複雑に入り組んでおり、まるで迷宮だった。これはかつて先代の王が暗殺されてから対策として改装されたものなのだろう。
「こんなところで時間を弄んでいる場合じゃないのに。」
カタリナはそうぼやきながらさっきも通った通路を走った。ふとカタリナは立ち止まる。
「何も迷路に付き合ってやる必要はないのかもしれないわね。」
カタリナはそう言いながらフレアリングに祈りを込めた。
「フレア。炎蛇。八岐大蛇。」
炎が形成したヤマタノオロチが、その八本の首を部屋のあらゆる方向に向ける。そして炎を放った。壁には八つの大きな穴が開いて、カタリナは確信の表情でそのうちの一つへと走った。上に上がる階段はそこにあった。それを何度か繰り返していると、ようやく中腹地点の広間へと辿り着いたのだ。カタリナが扉を開くと、その広間には一人の女が立っていた。と言うより待っていたという感じだろうか。
「そう簡単には行かせてくれないわよね。」
カタリナは小さくそう呟いた。
「ようこそ。サウンズロッドへ。私はミレアよ。」
「そう。ここにきて生身の人間が待っているとわね。でも私はあなたには用がないの。急いでいるから退いてくれないかしら?」
カタリナがそう言うと、ミレアは笑った。
「私はあなたに用があるの。会えて嬉しいのよ。カム様がマフィティスアをまとめて送り込むと言った時は絶望したんだから。あなたに会えなくなるって。でもあなたはそれを乗り越えてくれた。私すごく嬉しいの。」
「そう。私はそんな風に思われてもちっとも嬉しくないわ。」
「いいじゃない。同じ巫女同士仲良くしましょうよ。」
「同じ巫女?」
カタリナが聞くとミレアは嬉しそうに話し始めた。
「空の王を支えた炎の巫女。その類稀なる強さを科学者バミルトン=スカーデッドは、自らが王になった時に欲したのよ。それで作り出したのがこれ。」
ミレアはそう言うと、右手にはめられたリングを見せつけた。
「それは。」
カタリナは少し驚いた。それは黒いフレアリングのようなものだった。
「これはダークリング。バミルトン=スカーデッドはこの闇のリングを作り出して適応する人間を世界から探し出した。それが私のご先祖さまってことね。」
「代々スカーデッド家を守ってきた巫女ということね。」
「そういうこと。この時をずっと楽しみにしてたの。歴史に語られる炎の巫女か、天才が作り出した闇の巫女か。どちらが上なのかを試したくてウズウズしてたわ。」
ミレアはそう楽しそうに言いながら、ダークリングに祈りを込めた。カタリナもフレアリングに祈りを込める。
「闇剣の舞。」
「炎剣の舞。」
二人の声が重なった。そして睨み合い状態が沈黙を告げる。
「さすがに全く隙がないね。」
ミレアがそう言った。それにカタリナも返す。
「あなたもね。」
強者同士が相対した時、剣を重ねなくても実力を推し量れると聞いたことがある。今はその状態なのかもしれない。
「だめだ。どう戦っても負けるイメージしか湧かないね。さすがは炎の巫女。」
ミレアは頭の中で、いろんな攻め方を試してみたがどれもカタリナには届かないようだ。
「それなら大人しく下がっていてくれるかしら?」
「それはできないよ。こんなに楽しいのは久しぶりなんだもん。」
ミレアはそう言うと、闇の剣を強く握りしめる。
「何をしても無駄だと分かったから、真っ向勝負でいくね。」
「えぇ。そっちの方が話が早くていいわ。」
二人は一斉に走り出した。そしてお互いの中央地点で剣が激しくぶつかる。
「まずは速さ勝負といこう。」
ミレアは何度も闇の剣を振るう。カタリナはそれを簡単に炎の剣で止める。
「ここからよ。神速の闇舞。」
ミレアの動きは徐々に加速していく。
「神速の炎舞。」
カタリナも同様だった。二人の剣が交錯するたびに、二人の速度は増していく。それはもう生身の人間二人の動きとは到底思えないほどだった。しかしやはりカタリナが一枚上手だったようだ。炎の剣がミレアの体を二度三度斬りつけた。
「やっぱりだめか。速さじゃ敵わない。」
「そうね。もう諦めてくれるかしら?」
「だからそれはだめだって。もっと楽しませてよ。」
ミレアはそう言いながら、再びダークリングに祈りを込めた。それを見てカタリナも同様にする。
「次は物量の勝負ね。闇龍の咆哮。」
闇で形成された巨大な龍が、カタリナに向かって闇の波動を解き放つ。
「炎龍の咆哮。」
カタリナの炎の龍も同じように、炎を解き放った。闇と炎は両者の中央で激しくぶつかり合う。ここからは押し合いだ。どちらの威力が高いかの問題となる。徐々に飲み込まれていくのは闇の方だった。炎は勢いを増していき、ついに闇を完全に飲み込んで、瞬く間にミレアに向かって進んでいく。そしてその体を吹き飛ばした。ミレアは壁に激突していた。その体は見るも無惨に大火傷を負っている。
「あちゃ。やっぱり強いな。」
「もう十分でしょ?行かせてもらうわね。」
カタリナはそう言うと、背中を向けて歩き出した。
「待って。」
「まだ何か?」
「私まだやれるよ。もっと遊んでよ。」
ミレアは立ち上がっていた。そしてダークリングに祈りを込めている。
「カムという男は、あなたがそこまでして守りたい人なの?」
カタリナの問いかけにミレアは被りを振った。
「私は今、カム様を守るために戦ってるじゃない。楽しくて戦ってるのよ。」
「そう。確かにあなたは巫女としての素質は高いわ。でもね。経験が浅い。あの頃の私を見ているかのようなの。」
「経験値かぁ。そればっかりはどうしようもないね。」
「これから積めばいい。その後にまた相手してあげるわよ。」
「だめよ。私はもう決めてるの。自分の死場所はここだって。」
「そう。ならもう何も言わないわ。」
カタリナはフレアリングに祈りを込めた。
「炎剣の舞。」
「そうこなくっちゃ。闇剣の舞。」
ミレアは闇の剣を持って、カタリナに向かって走る。
「フレア。疾風の炎舞。」
カタリナは炎の剣を持ったままそう呟いた。次の瞬間、カタリナはミレアの後ろに立っていた。ミレアの右腕を斬り落として。
「見えなかった。」
「でしょうね。」
ミレアは斬り落とされた右腕を見ながら、小さく笑った。
「これじゃあ。もうダークリングも使えない。」
「それが狙いだからね。じゃあ私は行くわ。殺人の趣味はないの。」
「待ってよ。ちゃんと殺してから行って。」
「全て終わったら回復させてあげるから、そこまで待ってなさい。」
カタリナがそう言うと、ミレアは株を降った。
「そんなこと望んでない。ちゃんと殺してって言ってるの。でなければここから先に行かせるわけにはいかない。」
「なぜ命を粗末に扱うの?」
カタリナが聞くと、ミレアは少し考えてから答えた。
「大事に扱っているからこそ、炎の巫女の手で終わりにしてほしいのよ。生きていてもいいことなんてないって分かっているから。」
ミレアにも辛い過去があるのかもしれない。カタリナはかつての自分と重ね合わせた。
「そう。分かったわ。でも私も急いでいるの。一瞬で終わらせてもらうわ。」
「ありがとう。」
カタリナは炎の剣でミレアの首を斬り落とした。
「私も出会う人が違えばこうなっていたのかもしれないわね。」
カタリナはそう呟くと、ミレアの骸に背を向けた。
「次生まれてくる時には、素敵な人と出会えることを祈っているわ。」
その言葉を残して広間を出た。そして目の前の螺旋階段を駆け上がった。
カタリナは最上階の扉を開こうとしていた。ふと外が静かなことに気がつく。頭の中には色々な憶測が飛び交ったのだが、その雑念全てをかき消して、自分が成すべきことに注力すると決意した。そしてゆっくりと扉を開く。
「ミレアを倒したか。」
カムはソファに腰掛けたままそう聞いた。
「えぇ。」
カタリナはそうとだけ答える。
「モニター見てみろ。空の王ロシェ=カエルムは死んだ。古の機械も滅んだ。全ては俺の想定の範囲で進んでいた。誤算だったのはおまえだけだ。」
モニターには見るも無惨に穴だらけとなり横たわっているロシェの姿が映っていた。カタリナは込み上がってくる感情を懸命に押し殺した。
「私は選択を間違えてしまったようね。」
「そうだな。俺の想像を遥かに凌駕するおまえの力があれば、ロシェ=カエルムが死ぬことはなかったかもしれない。でもおまえは自分の目的を優先してここへ来た。」
「あなただけは何が何でもここで葬る。」
カタリナはフレアリングに祈りを込めた。
「フレア。煉獄の監獄。」
カムの周り半径十メートルほどに炎のサークルが形成された。
「そこから出ようとすると、全身を焼かれ死ぬことになるわ。そのソファから一歩たりとも動かないことね。」
カタリナのその言葉を聞いて、カムは背もたれに腰を預けた。
「なぜそこまでして俺を恨む?」
「恨んでないわ。ここにくる時、あなたの兄の墓を見たわ。あなたも根っこから腐ってるわけではないようね。無理に悪を演じている。そんな風に私には見えるわ。」
「おまえは知らないのだろう?俺の父がどのような人物だったのか。心優しく民からも愛される王だった。しかし突然命を奪われたのだ。それなら俺は逆に悪のカリスマとして国を支配すると決めたのだ。」
「そう。あなたには同情するわ。でもしてはいけないことに手を染めて、奪った命が多すぎる。」
「そうだろうな。」
カムは頭がいい。こう話してるうちに何か打開策を練っているのかもしれない。しかしカムの額に滴る汗からは現状に覚悟を決めているかのようにも見える。カタリナにはこの男がよく読めなかった。
「たかだか炎を操るだけのちっぽけな存在だと考えていたが、まさかおまえがこれほどの力を有していたとはな。どうだ?おまえの信じる王はもう死んだのだ。俺のこれからを信じてみないか?」
「ふざけないで。あなたにこれからはない。ここで確実に死ぬべき人間よ。」
「そう言うと思っていた。」
カムは座ったまま腕を組んだ。
「俺をここに閉じ込めてどうするつもりなんだ?殺すなら、首を斬るなり身を焼くなりできるのだろ?」
「私も同情しているのよ。だからあなたの態度を見極めているの。」
カタリナの言葉に嘘はない。この男が何を考えているのか分からないまま終えるのが嫌だった。
「おまえは何のために俺を殺すと誓った?」
「あなたの築いた国で苦しむ人が大勢いたから。」
「どんな名君であろうとも、民全てを幸福にすることなど不可能だ。」
「でも人道を外れたことを平気でする王はいらないわ。」
「人型兵器のことか?」
それを聞いてカタリナはへカーソンの家の地下室の光景を思い出した。
「えぇ。そうよ。人を材料としか考えていない。」
「しかしそれがあればこそのアルテミスの大戦での歴史的勝利に繋がったのも事実だ。」
「えぇ。確かにそうね。でもそれは戦争でも何でもない。一方的な蹂躙よ。」
それを聞いて、カムは大きく笑った。
「まぁいい。過去のことはどうすることもできないからな。未来の話をしよう。」
カタリナは黙って聞いていた。
「俺を殺した後の話だ。おまえは自分なら理想の国を築き上げられると思っているのか?」
カムのその問いかけに、カタリナは一瞬答えを躊躇ったが、ロシェに背中を押された気がして力強く言い放った。
「それを作るのは私ではないわ。この国に住むみんなの力よ。」
「考えが甘いな。国を築くことは壊すことよりも遥かに難しい。何もせず傍観者であり続け、気に入らなくなれば殺して壊す。そんなことを繰り返すおまえたちに、いったい何が築き上げられると思っているんだ。」
カムの言葉には重みがあった。父が理不尽に殺され、幼くして王となり、これまで国を統べてきただけのことはある。
「あなたは民を知らなさすぎるわ。もっと自分の目で国を見るべきだったわね。」
「どういうことだ?」
「あなたの言う通り、私のように人殺しに手を染めてしまった汚れ者もいる。でもこの国には素敵な人がたくさんいるのが事実よ。そんな人たちが新たなる国を築いていけばいいと思うわ。もう王はいらない。国のみんなが王であり、民なのよ。」
「そんな纏まりを欠いた国が存続するとは到底思えないがな。」
「もう十分よ。あなたに同情の余地はなかった。あの世でこの国の行末を見届けなさい。」
カタリナは再びフレアリングに祈りを込める。
「そう慌てるな。とりあえずモニター見てみろ?」
カムはそう言うと、モニターに映るロシェを指差した。一人の男がロシェの方に向かって歩いているのが目に入る。
「何をする気?」
カタリナが語気を強めねそう聞いた。
「俺は何もしない。あれは古代兵器シュラウド。あれが何の目的でロシェ=カエルムの亡骸に近づいているのかは俺にもわからん。でもこの時のために用意しておいたのだ。」
「あなたは本当に悪魔ね。」
カタリナは怒りを押し殺してそう言った。
「亡骸とはいえ、大事な存在なのだろう?行った方がいいのではないか。これ以上跡形もなく潰されては名残る時間もなくなるであろう。」
カムはそう言うと、大きく笑って見せた。その姿を見てカタリナは拳を強く握る。煉獄の監獄の効果範囲はせいぜい二十メートルほどだ。あそこにカタリナがいけばこのサークルは解除される。カムもそれが狙いだろう。
「あなたは私を完全に怒らせたわ。もうあなたの負けよ。」
カタリナはそう言うと、素早い動きでカムの後ろに回り込む。
「一言だけ言っておくわ。動かない方がいい。動けば死ぬことになる。」
カタリナはそれだけ言い残して、カムの部屋の窓を叩き割った。そしてそこから下に飛び降りる。かなりの高さだが、カタリナがこれまで乗り越えてきたことに比べれば大したことはない。
「炎天の舞。」
カタリナは着地と同時に炎の竜の背中に乗った。そして一気に古代兵器の元へと向かう。
「動けば死ぬ。ただの脅しなのか。それとも何か仕掛けたのか。」
カムは動けないでいた。カタリナの言葉が全くの嘘だと思えないからだ。
「止まりなさい。」
カタリナは古代兵器シュラウドの前に立ちはだかり、そう言った。
「俺は空の王に用がある。」
シュラウドは静かな口調でそう言った。
「私は【炎の巫女】。空の王を守る者。行きたければ私を倒してからにしなさい。」
カタリナの言葉には気迫が滲み出ていた。
「よかろう。まずはおまえから殺すとしよう。」
シュラウドは両手に持った巨大な円盤をカタリナに向けて投げつけた。それは高速回転して向かってくる。カタリナはそれを軽快な動きで避けるが、円盤は後方で方向転換して再び襲ってくる。
(カルトゥナと初めて戦った時、正直死ぬと思ったわ。こんなのに勝てるわけがないとね。でもガリュウと戦う頃には、私は古代兵器以上に強くなれていた。今はなんてことない。ただの機械と同じよ。)
カタリナは何度も向かってくる円盤を避けながら、フレアリングに祈りを込める。
「奥義。炎天火。」
それはガリュウを倒した太陽の力だった。徐々に大きさを増していく炎天の光が古代兵器シュラウドの動力を完全に消失させた。まさに瞬殺だった。それはカタリナにとってロシェとの旅が無駄ではなかったことを証明しているかのように見える。
「そしてもう一人。死ぬ者がいるわ。玉炎の棺。」
カムは逃げると決意して動き始めていた。背中に炎の剣が刺さっていることに気づかずに。剣は球体に姿を変えて、徐々に大きさを増していく。そしてカムの全身をすっぽりと包み隠した。最初からカタリナは仕組んでいたのだ。より遠い距離でも効力を発揮する炎剣を。そしてこれは初めの頃にスタレスを葬った技でもある。カルトゥナやガリュウなどの古代兵器と違い、炎への耐性がない生身の人間のカムが跡形もなく消え去るのにそう時間はかからなかった。これによってスカーデッド王国、国王カム=スカーデッドは確かに死んだのだ。
カタリナは泣いていた。革命が終わりを告げたからではない。今カタリナの目の前には何よりも一番大切で、何よりも一番守り通したかった人が無惨な姿で倒れている。カタリナの頭の中を後悔が埋め尽くした。やはり一緒に戦うべきだったと。
「ロシェ。ロシェ。」
カタリナはロシェの亡骸に何度も語りかけた。しかし返事が返ってくるわけがなかった。
「アクアリング。お願い。これが最後でもいい。ロシェを救ってください。」
それはカタリナの心の叫びだった。そしてカタリナは奇跡を呼び起こせるほどの強さを持っている。アクアリングは眩く光り輝いた。放たれた青色の光はロシェを優しく包み込んでいく。そしてロシェの体の傷を修復していき、元の綺麗な状態へと回復させた。しかし目を覚ますことはない。それと同時にアクアリングは砕け散った。
「ロシェ。約束したのに。なんで置いていくの?ねぇ。起きてよ。目を開けてよ。」
カタリナの声は、枯れていた。そして強烈な疲労感に襲われて、ロシェを抱えたまま眠りについてしまった。おそらくアクアリングの副作用だろう。リングが壊れるほどの強い念を送ったので、体にかかる負荷も大きかったのだと思う。
かなり長い時間眠っていたようで、辺りは明るくなっていた。カタリナの横には変わらず眠ったままのロシェがいる。
「ねぇ。いい加減に起きてよ。」
カタリナは流れ出る涙を拭うことすら忘れて、ロシェに語りかける。心の中ではもう無理だと分かっているのかもしれない。それでも奇跡を信じることをやめられない。
「約束忘れたの?一緒に暮らそうって。またスノーボール買いに行こうって。結婚しようって。だからあの夜、私はあなたを受け入れたのよ。ねぇ。一人にしないでよ。」
カタリナがそう言うと、奇跡は訪れた。
「忘れるものか。一人にもさせない。」
ロシェの声だった。カタリナは驚いた。そして嬉し涙が溢れてきた。ロシェが生きていたことに対して。いや生き返ったと言った方がいいのだろうか。
「ロシェ。よかった。本当によかった。」
カタリナはロシェを抱きしめた。ロシェもそっと背中に手を回す。二人は再び生きて会えた喜びを存分に噛みしめた。そして互いの目的を達成した喜びも。ひとまず戦いの疲れを癒すために近くの街まで行って宿を探すことにした。宿はすぐに見つかり、二人は一つの部屋に入っていく。
「カタリナ。グレートニールへ行こう。」
ロシェがそう言うと、カタリナは笑って答えた。
「そうね。早く食べたいわ。それにあの店の子にちゃんと報告しないと。結婚のこと。」
「そうだな。」
その後部屋の中で何があったのかは分からない。きっとこれからもずっと隣を歩ける。そんな幸せを二人で噛み締めていたのだろう。幸せの実感を絡み合わせて二人は眠りについたのだった。
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