スマブラしようぜ!
…え?
なんで?
「は…え?え?」
よく見るとプロコンを握っていて、笑っていた。
「予定伝えにきたのにいなかったから、佐藤さんに許可もらってあげてもらったよー」
「お邪魔してまーす」
にこにこしながら話してきた。
「いや…俺の部屋だけど?」
「そうだけど」
「だめ?」
冷房も普段俺が部屋にいるときよりも効いている。
「いや、だめじゃないけど…」
「やった!」
気が動転しながらも、とりあえず部屋の中に入る。祖母はあとでしばいておこうと思った。
「てか、何勝手に俺のswitchでゲームしてんの?」
「まだしてないよ?プロコンも僕の持ってきたし」
「カセットも持ってきたよ、二人で遊べる奴をね」
と水色のカセットケースから、スマブラのカセットを取り出してきた。
「いや、俺も持ってるし」
「まじ?DLC持ってる?」
「うん、テリーとかペルソナとか全部持ってるよ」
「じゃあそっちのでいいや、やろやろ」
手を動かして横に座れというジェスチャーをしてくる。仕方なく横に座り、リュックからプロコンを取ってくる。switchに一緒に取ってきたスマブラのカセットを入れて、電源ボタンを押した。
「仕方ない…手加減はなしで」
「もちろん!」
俺はピチュー、空はマルスを使ってきた。
手に汗握る戦いの結果、普通に負けた。
「いえーい!」
「普通に強くない?俺も相当自信あったんだけど」
「スプラよりもこっちのほうが得意だし、ネットだと遅延があるからね~」
「強すぎる…」
「でしょ?」
上手かった。youtubeで見るようなプロの動きだった。
あれ?てかそもそもなんで俺はスマブラを?
「てか、そういえば俺の部屋いんだよ」
「いやいや、さっき言ったよ。予定伝えに来た」
「あ~、外出のやつね。結局どこに決めたの?」
「ふふーふ、海を見に行くに決めた」
「海?東京とかからも見れるんじゃないの?」
「いや~、だって東京湾見たけど汚いじゃん、あとタンカーばっかで全然綺麗じゃないし」
「僕、ここには毎年来るのに東京以外の海みたことないし」
「俺もそんなもんか、千葉住んでるけど九十九里浜とか見たことないし」
「まあ空が行きたいならいいんじゃない?」
「じゃあ決まりね。というかここで反対されても押し通す予定だったけど」
「知ってたわ」
「具体的な場所は静波海水浴場にしようかなって思ってる」
「どこ?」
すると空が液晶が割れているスマホでグーグルマップを開きだす。
「ここ」
スマホをこちらに向けると、液晶が割れてて見にくかったが、ここから島田の南辺り、約ここから往復3時間ぐらいだ。
「結構遠いね」
「いや、見るだけで別に泳ぐわけでもないし、大丈夫大丈夫」
空は向けていたスマホをポケットにしまった。
「じゃあ日にちは?」
「うーん…」
「じゃあ明日でいい?」
「はやっ」
「もうちょい日程とか考えようよ」
「えー、めんどくさいしいいでしょ、タカヒロはずっと暇なんだし」
「それはそうだけど…」
「でしょー?」
いかにも知ってるものいいをしながら、若干下から顔を覗いてきた。
「じゃあ僕は、伝えること伝えたしそろそろ帰るね」
「うん、じゃあまた」
ずっと、座っていた空が立ち上がる。
「次はせめて部屋入るとき一言言ってくれ。ビビるから」
「おっけー」
そう言って、空は俺の部屋の扉を閉めた。
さっきまでの雰囲気が嘘のようで、部屋は静かだった。もとからこの空間で一人だったはずなのに、やはり誰かと会話すると一人の静けさが目立つのかもしれない。
柏の方で友達と遊んだあともだった。
友達と遊んだ後と一つ違うのは、部屋に石鹸のようないい匂いが残ったことだった。
それをすこし意識すると…ちょっと恥ずかしい気分になった。
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