第四章 夏祭りと新メニュー
第18話だいぶ唐突に始まる新メニュー開発(2回目)
「それで、何か思い浮かびましたか!!新メニュー案は!!」
そんな声と共にさくらさんが学校から帰ってきたのは、新メニューを考えた翌日。ちなみに、新メニューの件は一旦保留ということとなっていた。
「いや、、、とくには思いついてないかな」
「えー、今日一日何してたの?サボってたの?」
さくらさんがあきれたように言ってきた。
「いや、寧ろサボってなかったから考えれてないっていうか、、、」
「、、、まあ、それはそれとして、今日は新メニューの件で桜木くんとお父さんにうれしいお知らせがあります」
「はあ」
「どんなお知らせなんだ?」
さっきまで静かに話を聞いていた大地さんが話に入ってきた。
こうして子供の話に乗ってあげるのは、親心からなのだろうか。
「フフフ、、、二人とも!心した聞いてください。なんと、考えた新メニューが実際に採用された暁には、、、」
「暁には?」
「私から図書カードを進呈します!!」
図書カードって。これは自治会の出し物か何かなのか?まあ、使えるからいいか。
「ちなみに金額は?」
「よくぞ聞いてくれました、、、金額はなんと!!私の財布で眠ってた5000円図書カード、、、に残ってた11円です!!」
「金額以前に思い切り使いかけじゃん!!」
てか使いかけを他人に渡すなよ、、、
ふと大地さんの方を見ると、すごく気まずそうな様子で自分の娘を見ていた。
その時気づいた。
「ってか、ここ大地さんのお店ですよね?なんかさくらさんが仕切っちゃってますけどいいんですか?」
「まあ、お客さん取られるのは嫌だし、だからって、私には若い子の流行とかよくわからないから、、、」
「それで、さくらさんに任せたんですね」
大地さんは静かにうなずいた。なるほど、そんなことが。
すると、さくらさんがどや顔でこちらにかをを近づけてきた。
「どう、やる気になった?」
「、、、それって端数も切れないくらいだけ残った図書カードの使い道に困って、でも腐らすのももったいないから他人に押し付けよう!、、、ってことだよね」
「、、、、」
図星、、、かな?
「や、やだなー冗談だって~」
これ、絶対そうだね。あと、お金は大事にしよう。
「それはそうと、もう一つお知らせがあります」
さくらさんは真剣そうな表情になり、続ける。
「来月28日の花火大会に、乃木珈琲も河川敷に露店を出してくれないかと、さっき帰ってくるとき商店街組合の会長さんに出会って言われました」
「会長というと、、駄菓子屋の高橋さんか。分かった。協力させてもらうよ。私からも連絡するが、さくらも見かけたらそう伝えておいてくれ」
大地さんがそう言ってスマートフォンを片手に控室に入っていくのを見ていると、後ろからさくらさんが声を掛けてきた。
「だから、そのためにも新メニューよろしくね?」
「分かったけど、さくらさんも手伝ってよ?」
「了解しましたー。じゃ、着替えてくるね」
そう言ってさくらさんは2階へ上がっていった。
● ● ● ●
、、、それにしても、昨日から全く話が進んでないな。
そう思いながらお客さんの会計をしていると、レジのわきに一冊の白いノートが刺さっているのが見えた。
「なんだこれ?」
お客さん会計を終わらせて、ノートを手に取ろうとしたものの、ちょうどそのタイミングで、大地さんが戻ってきたため、タイミングを逃してしまった。
「ごめんごめん、営業中に席外しちゃってごめんね!」
「い、いえ。大丈夫です」
「それならよかった」
そう言って大地さんは笑顔を見せた。
それにしても、あのノートは何だったのだろうか。
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