5 東京駅
毎日毎日どこからか人が集まって、どこかに消えていく。
毎日をルーティーンで過ごしている人もいれば、特別な日常のために東京駅に降りた人もいる。
わたしは、ひとり旅でもビジネスでもなく東京駅に居て、余暇帰りの三人家族や友達同士での旅、ビジネスでの出張、周囲の非日常の空気につられることの無いよう、わたしの身体が宙に浮かないよう、どっしりと構える。
それでも、人々が足早にどこかに向かっていく様と「ここでしか買えない」と煽る土産物店の店員が、わたしの気を緩めようと企んでいるのではないかと思えてくる。
そんな私が歩く姿は、土産物店の店員には日常だし、通りすがりの人々にはただの通り過ぎていく日常の景色であって、路傍の石ですら無いことくらい想像に容易い。
あぁ、わたしは何故ここにいるんだろう。
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