再婚で出来た義妹がウザい!!
2
父と結婚相手とのお見合いは意外にも次の日だった。暇だから良いけどやめてほしい。
「私息子は出来たことないから嬉しいわぁ」
「へー、そうですか。えっとその、よろしくお願いします」
これから僕の義母にあたる人は“のぞみ”さん。おっとりした目尻に落ち着いた立ち振る舞い、マイペースとも取れる。結構な美人さんだった。
「突然のことで受け入れてくれるか不安だったけど、良い子そうで良かったぁ。ごめんなさいね、これから苦労かけるだろうけど」
「いえ、僕も元々再婚には賛成派だったので嬉しいですよ。男臭いアパートに居続けるのも大変なので」
ちなみに。
望美さんが住んでるのは一軒家で、内装も綺麗だしまだ新しい。ボロアパートの狭い部屋で全員で暮らすわけにも行かないので、我々が転がり込む形だ。
父よ、プライドはないのか?
「それにしても、琴音ちゃんは今日は居ないのかい?」
父がそんなことを言った。
「そうね、ちょっとあの子気難しいから......会いたくないってでてっちゃった」
うふふっと笑う望美さん。いや、笑い事じゃないが。すごい居づらくなったんだけど。
「えっと、来週から一緒に住む形なんですよね」
「ええ、そうね」
「大丈夫なんです?」
「まぁ、慣れるでしょ」
この人やば。
*
「お邪魔しまーす」
あっという間に時間は過ぎて、引っ越しの日がやってきた。アパートの大家さんには話をつけたし、荷物も殆ど売り捨てた。とうとう戻れないとこまで来た。
それにしても他人の家に住むというのはなんともむず痒いというか。やっぱり気まずい。
「いらっしゃーい」
玄関で出迎えたのは望美さんと、これから僕の妹になる琴音ちゃんだった。黙ったままそっぽを向いていて、目を合わせようとしない。
「あ、えっと。今日からよろしくお願いします」
気まずい!!!
持ってきた荷物をある程片付けた後、リビングに行くと、琴美ちゃんがテレビを見ていた。
声を掛けてみようか。いや、でもなんか印象悪そうだし、嫌われたくないなぁ。
・・・。
「ねぇ、えっと琴音......さん?」
「はい」
琴音ちゃんはテレビを見ながら空返事。
「えっと、僕あまねって言うんだけど、今日からよろしくね」
「......はい」
やっぱり空返事。
「僕のこと嫌い?」
「別に......でも、急に結婚して家に他人を連れ込んできたのはクソ。母さんもあの父親してるのも全部クソ」
「あー......それはちょっと分かるかも。事が勝手に進んだよね」
父さん、望美さんごめん。今だけちょっと悪者になってくれ。
「えっと......あまねさん?も被害者なんだよね。まぁ、そうか」
「うん、ごめんね。今日からお邪魔になるけど」
「別にあまねさんが悪いわけじゃないんでしょ。それは仕方ないんじゃない?」
「嫌ってない?」
「まぁ......」
「よかったぁぁ......もしかしたら嫌われてるんじゃないかと」
「けどあの父親ヅラしてるおっさんはキモい。マジで無理」
「まぁ、まあ......僕共々迷惑にかけないように最大限努力するから。よろしくね」
「まぁ、よろしくです」
そうんな感じでなんとか挨拶を済ました。
その後はぐだぐだと2人でテレビを眺めていた。ちょっと張り詰めた空気を感じていた。
「あ、北条七花......」
琴音ちゃんがつぶやいた。
「ん、知ってるの?」
「いや、むしろ日本人で知ってない人居ないんじゃないですか?10000年に一度の美人で売れっ子タレントであり女優でありモデル。ここまで才色兼備な人居ないですよ」
「へー......まぁ、そうだよねー」
「私なんかアイドル時代から知ってますよ。当時中学生とは思えないパフォーマンスでしたし」
「それ結構古参なファンだね」
「はい、まだ小さかったんでライブとかは行けなかったんですけど、必ず売れる人なんだろうなって思ってました」
思っていたイメージよりも饒舌に喋り始める琴音ちゃん。人は好きなものになるとおしゃべりになるんだぁと、改めて思った。
「あー......そういえば僕、七花のサイン入り色紙持ってるんだけど、よければ要る?」
「ゑ?」
「いや、僕も姉に貰ったんだけどさ。僕自身はあんまり好きじゃなくてーー」
「ちょっと待ってくださいよ!!あの北上七花のサインって当時のアイドル時代にしか手に入らない物じゃないですか!!?ウン十万しますよ??ほんとに持ってるんですか?」
「う、うん。あと近いよ」
「ハッ!ごめんなさい」
コホンと、さがる琴音ちゃん。
それにしてもあのサインそんな値段するのか。姉さんから適当に「これ、売れっ子になるから今のうちに持っておきな」って渡されただけなんだけど。
「い、良いんですか?」
「まぁ、お近づきの印って事で」
「やったーーー!!!」
さっきとは打って変わって普通の女子中学生みたいな反応をする琴音ちゃん。いや、今年から高校生なんだっけ。
とはいえこれで琴音ちゃんと打ちとければいいけど。まあ嫌に思われてないなら大丈夫だと思いたいけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます