閑話① このときの僕が原因で友人カップルが喧嘩した話

【まえがき】

いつも、読んでいただきありがとうございます。作者の不労つぴです。

今回から閑話という形で『このときの僕が原因で友人カップルが喧嘩した話』を書こうと思います。

理由は近況ノートに書いておこうと思いますが、あまり読む価値は無いと思います。

多分長くても4、5話くらいで終わると思うのでお付き合いいただけると幸いです。











「ってことがあってさ……」


 勇次郎の衝撃の告白から少し時間が経った頃、僕は中学の同級生で構成されたグループの通話に参加していた。ここ最近は、毎日のように開催されており、毎度訪れるメンバーが異なるなど、活気に満ち溢れていた。


 僕はそこで、この数日間に自分の身の回りで起きたことを、このとき通話に来ていたメンバーに話す。メンバーの皆の反応はそれぞれ異なっていた。


「相変わらずお前の身の回りはおもしれぇなぁwww。 マジにお前一回お祓いに行ってきたらどうよ」


 落ち込んでいる僕を嘲笑うかのように――というか、実際に人の不幸を肴にゲラゲラと笑っている品の無い男の名前は石黒隼樹いしぐろ しゅんき。僕の小学校時代からの友人だ。


 見ての通り、こいつは幼少期から周りも認める人間の屑である。彼にはデリカシーのデの文字すら存在しないのだろう。僕は未だに、道德の無いこいつが社会人をやっていることが不思議でたまらない。というか、何故僕はこいつと未だに友達をやっているのだろうか。


「うわぁ……なんというか……つぴの周り毎回ヤバいけど今回は群を抜いてヤバいな……オモシロ」


 僕の話を聞いてドン引きしているように見えて面白がっているのは、南乃遥斗みなみの はると。遥斗は中学校からの友人だ。彼は3度の飯よりゲームが大好きで、最近では集まって何かゲームをすることが多くなっているこのグループの通話には毎回参加しており、もはや常連になっていた。


「つぴがヤバいのは昔からだけどさ。やっぱヤバイ奴の周りにはヤバイ奴が寄ってくるんだなって」

「いや、僕もヤバイ奴扱いするのやめてくれない!?」

「事実じゃん」

「おうおう。この前男にストーカーされてたやつがなんか言ってるよ。俺1回お祓い行ってみたかったんだよ。だから一緒に行こうぜ、お☆祓☆いwww」


 ダメだこいつら……。いや、この愉悦部クズ共に同情を求めた僕が悪いか。だからと言って、落ち込んでいる友人にかける言葉としては、もっとこう手心というものを加えるべきでは……。


「コラ! つぴちゃんをあんまりイジメちゃダメでしょ! 確かにつぴちゃんは人間版ゴキブリホイホイみたいなとこあるけど、それは今に始まったことじゃないでしょ」


 擁護してくれると思ったら後ろから刺された気分だ。というか、人間版ゴキブリホイホイってなんだよ。


 この僕に容赦のない言葉をかけた女の子の名前は汐野百音しおの ももね。中学時代の友人で、このグループの実質的なまとめ役のような存在である。


 癖の強いメンバーをまとめているだけあって、中々豪胆な性格をしている。彼女が1+1の答えを2だと言ったらそれは2。それくらいここの中では発言権があった。


 ちなみに僕は発言権が全く無い。僕も一応グループ創設初期からメンバーなのに……何故なのだろうか。


「つぴちゃん。前々から言ってるけど、もう大学生なんだから、つるむ相手も考えなきゃダメだよ?」


 汐野さんは僕に子どもを諭すような態度で僕に語りかける。ぐうの音も出ない。真っ当な意見だ。僕はまるで母親に叱られているような気分になる。


「はい……その通りでございます……」

「wwwwwwww」


 うなだれている僕の様子を隼樹はゲラゲラと笑う。僕も言い返そうと思ったが、彼と同じレベルにまで落ちたくはない。なので、彼の態度は無視することにした。


「それで、つぴはどうすんの?」


 唐突に遥斗が僕に問いを投げかけてきた。どういう意味だろうか。僕は言っている意味が分からず、遥斗に聞き返す。


「どうするって何が?」

「そのマルチに染まったやつのことだよ。このまま絶縁するの?」


 僕は答えに困って沈黙してしまう。あれからしばらく経ったが、未だに僕の中での結論は出ていない。竹田やアキヒコもそろそろ答えを出そうとしているが、未だに僕は何の答えも出せていなかった。


 まだ思考が停止している僕に、凛とした声が響く。


「悲しいけど、絶縁しか無いわね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る