第4話 令嬢2人、邂逅する
(黎音視点)
いよいよゲーム内で戦争が起きた日付まで時間が迫ってきた。
私は今のところ良い手を打てないでいる。
そもそもゲーム内で戦争の発生は主人公達と関わらないところで進行しており、その詳細な原因がよくわからないのが難題だ。
わかっているのはせいぜい、東の帝国と西の帝国が元々いがみ合っていて、それが何かをきっかけに爆発したというだけ。
かなりまずい状況である。
ところで最近、なにやら宮廷内が騒がしい。
なんでも西の王国の王女が東方人に誘拐されたという。
しかもそのことで今日、王国から珍しく使節が送られてくるらしい。
過激派もいるのに危険を顧みず使いを送るとは王国もかなり焦っているようだ。
これが戦争の火種にならないといいが……。
- - - - -
午後になって、宮廷内がいつにも増して騒がしくなってきた。
どうやら
少しして、例の左大臣である父上から声をかけられた。
「黎音、少しいいか?」
「どうしました父上」
「例の使節のお嬢様なんだがな、かなり扱いが難しいらしくてな……少し話してみてくれないか」
「どうして私に?」
「同世代の方がいくらか話しやすいだろう。少し試すだけだ」
「なるほど……」
まあ戦争に関係しているかもしれないし、一応話を聞いてみるか。
- - - - -
「だから、戦争になるのよ! 早く王女を解放しなさい!」
「しかし、そう言われましても……」
現場に行くと、文官がわめきちらす例の令嬢に詰め寄られていた。
「大丈夫ですか。呼ばれてきたのですが」
私が声をかけると、文官は安心したように身を引いた。
令嬢がこちらを向く。
「あなたは?」
「左大臣の娘です。今度は私が話を聞きます」
目の前にいる少女はきらびやかな金髪に、凛とした表情。
そして意地の悪そうな目つき。まさに高慢な令嬢といった雰囲気だ。
要するに、これからこの相手をすると思うと憂鬱である。
「さて、王女様誘拐の件ですが……」
「ええ、早く解放しなさい。あんたらが誘拐したって聞いたわよ。何やってるかわかってるわけ? 戦争になるわよ」
このお嬢様は落ち着きというものを知らないのか、それともその能力がないのか。
気を取り直そう。
戦争というのが気になるが、まずは誤解を解くのが先だ。
「えー、王女様誘拐に関してですが、まず我が国としてはそのような事実は確認できておりません。第三者によるものと考えられます」
「騙されないわよ。 証拠は上がってんの! 天国の親御さんが泣いてるわよ!」
「両親は存命です」
「このままだと戦争になるわよ! 私もあんたも全員処刑!」
戦争、処刑?
「すいません、その先ほどから戦争というのは?」
「このまま王女が見つからなければ、王国は王女奪還のために帝国内に近衛軍を派遣するわ。そうなれば全面戦争は避けられないの! って言ってたお父様が私におととい」
それを聞いて、先ほどまで応対をしていた文官が私の後ろから反論する。
「ですから、今年は両国とも飢饉ですし、互いに体力のない状態で全面戦争というのは考えにくく……。しかも誘拐というのも我が国は全く存じ上げていませんので」
ああ、それが帝国内の見方だ。少なくとも上層部は。
王国の開戦派は定期的にイチャモンをつけてくる。今回もその1つだと見るのは不自然ではないだろう。
しかし……。
現状では、これは聞いてみる価値があるかもしれない。
「その話、詳しく聞かせてもらえますか」
「私もこれ以上は知らないわよ。起きると言ったら起きるの」
「……」
はぁ〜つっかえ。
■あとがき - - - - -
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