【緊急提言】ニコニコを救え!

六野みさお

第1話 ニコニコを救え!

 国内最大級の動画サービス「ニコニコ動画」がサイバー攻撃を受け、使用不能になっている問題が話題になっている。普段はニコニコを使わない人も多いかと思うが、ボカロ民である私にとっては大問題である。ここでは、現在この問題がどのような影響を及ぼしているかを解説し、またこれまでのニコニコを振り返った上で、ニコニコがこれから生き残るために何が必要かについて論じる。


 ニコニコ動画をはじめとするKADOKAWAの管理するサイトでは、8日(土曜日)未明から不調が続いていた。最初はただのメンテナンスであろうという声もあったが、9日にはサイバー攻撃であることが発表され、ニコニコ界隈には衝撃が走った。


 このサイバー攻撃によって大きな影響を受けたのが、「明るいボカロ曲投稿祭」と銘打つボカロの一大イベント「キラハピ2024」である。キラハピは毎年開催されている大きな投稿祭であり、まだニコニコが正常に動いていた7日には、大手ボカロPのShuなどが参加し盛り上がりを見せていた。だが、サイバー攻撃によってキラハピは機能不全に陥り、参加者たちはYoutubeへの動画の移動を余儀なくされた。今回はキラハピ運営の迅速な対応もあって被害は最小限に抑えられたが、もしボカコレなどのさらに大きなイベント中にことような事件が起こっていればどれだけ大きな問題になっていたかと考えると恐怖を感じざるを得ない。


 もちろん、このようなイベントだけでなく、ニコニコでアニメを見ようとしていた人、配信者の生放送を楽しみにしていた人、週末の動画投稿を計画していた人やそれを待っていた人たちの混乱は数え上げるときりがない。しかし、これほどの大問題が発生しているにもかかわらず、テレビなどではあまり取り上げられていないし、なろうやカクヨムでも(KADOKAWAに関係の深いはずのカクヨムでも!)ほとんど話題になっていないのが現状である。これは人々が現代社会におけるニコニコの重要性について理解していないとしか思えない。そこで、私はこの文章を書く必要があると考えたのである。


 あなたはニコニコについてどのようなイメージを持っているだろうか。おそらく多くの人が、ニコニコを過去の遺物であるとか、低俗なネットミームの発信の場であるとか考えているのであろう。しかし、それは偏見である。ニコニコは現在でも日本の流行の発信地であり、去年社会現象を巻き起こした「アイドル」のヒットの起爆剤となった例のゲッターの動画はニコニコ発であり、少し遡れば例の帝京平成大学もニコニコ発である。模試の時にふざけて第5志望あたりに帝京平成大学と書いた高校生もたくさんいるはずだ。それならば、君たちはニコニコの影響を受けている。


 だが、ニコニコが今やYoutubeに比べてシェアで劣ることは確かに周知の事実であり、長年大きな影響力を誇ってきたボカロ界隈でも「ニコニコでのボカロは海外勢の影響を考慮しにくく、媒体として不適切である」という指摘が目立つようになってきている。若者を中心にニコニコ離れは進んでおり、有名な若手PであるKanariaやAzariなどがニコニコへの投稿をやめている。そのような折でのサイバー攻撃であり、これはニコニコの今後を大きく脅かすものである。そこで、私は窮地に陥ったニコニコを救うため、三つの提言を行う。


 一つ目は、ニコニコの良さを広く発信することである。ニコニコは確かに古い媒体であるが、それは裏を返せばインターネット文化初期の遺産が多く残っているということである。ハチやDECO*27、n-bunaや蜜柑星など、有名Pの初期作品の中にはニコニコにしか投稿されていないものもあり、特にメルトやみくみくなど神話入りしている曲でYoutubeに公式動画がないものもある。さらに、ニコニコの大きな利点として、コメントの匿名性が高いというものがある。Youtubeはコメントするとコメント主のアカウントが公開されてしまうが、ニコニコはそうではない。これはコメント主の立場に捉われない自由なコメントを推進するものである。また、コメントが右から左に流れるシステムを利用した弾幕なども、ニコニコ独自の文化であり、Youtubeとは違うニーズを持つものである。我々はこのようなニコニコの素晴らしさを広く発信し、特に若い世代がニコニコに興味を持つようにする必要がある。


 二つ目は、ニコニコのサービスを海外に展開することである。ニコニコは素晴らしいサイトであるが、しかしこれはほとんど日本人にしか使われていない。ニコニコはシステム上海外から視聴することが難しい状況にあり、これはニコニコのシェアの増大を妨げている。もちろん簡単に解決できる問題ではないが、サービス対象国を広げることもニコニコユーザーの裾野を広げることにつながるはずだ。


 三つ目は、サイバー攻撃に対する防衛力を強化することである。これはニコニコ以外のさまざまなサイトにも言えることだが、現在サイバー攻撃のリスクはますます増している。安易にサイバー攻撃を許し、それが人々の生活を妨害するようなことはあってはならず、また違法なやり方で目的を達成しようとするサイバー犯罪者を許してはならない。私は今最も苦しんでいるのはニコニコ運営であることは理解しているし、彼らが昼夜復旧のために働いてくれていることには感謝しているが、ニコニコはこの事件を契機として、二度とサイバー攻撃は喰らわないという覚悟を持ってこれからの運営を進めてほしい。


 我々何の知識もない一般人がニコニコに対してできることは少ない。だが、ニコニコの現状について知り、ニコニコに対して連帯を表明することはできる。まずはこのエッセイに高評価とブクマをつけよう。そして、感想を書いている暇があったら、ぜひ自分もニコニコに関する何かを書いてほしい。思い出のニコニコの動画でも何でもいい。とにかくエッセイランキングをニコニコ関係で埋め尽くそう。そして、「#がんばれニコニコ運営」などのハッシュタグを利用して、Xなどでもニコニコを応援しよう。

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