5. その他 5-2. ジョーカーは塩むすび⁉
さて、というわけでホワイトデーには白いものがいい、という話の流れになった(した?)ところで、何にも入れない塩むすびの話をしていこうと思います。
シンプルさの極みである塩むすびですが、これはかなりトリッキーな存在です。おにぎりに意味合いを持たせる、という文化において塩むすびほど対極的な二つのメッセージを持つものはないといってもいいでしょう。
それではまずポジティブなほうから参りましょう。おに本命向けのやつです。
具も海苔も何もない塩むすびは、ご飯の持つ素朴な美味しさで勝負するほかありません。
でもそれがおにぎりの本質でもあり、いちばん重要なパートを占めるといえるので、つまり塩むすびにある含みは「自分の包み隠さない本心」、ということです。素の自分をだして、本気であなたのことが好きです、という一世一代かもしれない告白にはおあつらえ向きですね。
出来立てほやほやだとなおよくて、アツアツの本心だという一途さを表すことができるわけです。
あ、一つ忘れてはいけないのは、渡すときにきちんと想いを告げること。
「これが自分の本心です」の「これ」が何かわからないとお相手に伝わりませんから。
ちゃんと言わなければいけませんよ。
大黒摩季も言ってます、「言わなきゃ伝わらないのに」って。
さて、もう一つの方です。こちらはおに義理向けです。
同じ塩むすびなのにどう渡すかで変わってしまいます。
というのも、塩むすびというのは一番簡単に労力をかけずに作れてしまうおにぎりですよね。こだわらなければ。
なので、「あなたに向ける気持ちはない」というオブラートが欲しいぐらいの率直な義理感を伝えることもできてしまうのです。
冷めていると特にです。
世の中は残酷なもので、おに本命の塩むすびかと思えばおに義理でしかない、なんてことが起こり得てしまうのです。
そうなると受け取った方は判別の仕方が気になりますよね。ポイントは先述している二つです。
おにぎりが温かいかどうかは一つの指標ですが、どうしても帰り道にしか渡せなかったなどの場合がないとも限らないので参考程度に。
それより一緒に想いを伝えられたかどうか、のほうが大事になってきます。そこですべてがわかってしまう、と言っても過言ではないかもしれません。
というかそもそもホワイトデーのお返しって物をあげるのと想いを告げるのとどっちがメインなんでしょうね。
というわけなので、ホワイトデーに塩むすびを渡すのはうまくいけば一番パワーのある想いの伝え方ですが、かなり難易度の高いことでもあるかもしれないといえそうです。
シンプルで純粋であることって実はとっても難しいのかもしれない、と考えさせられてしまいますね。
男性のみなさん、これをするなら真摯に向き合ってくださいね。世の男性の95%が浮気をするなんて噂は信じたくありませんから。
女性のみなさん、塩むすびがちらっと見えたら心の準備を。悪いほうに転がらないことを願っています。
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ホワイトデーにはおにぎりを 戸北那珂 @TeaParty_Chasuke
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