第5話 特殊スキル発動!!その名は炎の刻印!!
「ふっ、せいぜい頑張るんだな。デスワームに食べられたら、その時もお前のデータは消滅する」
シーカーと襲いかかるデスワームを見届け、その場からボードで走り去る仮面の男。
「おい、お前!!」
シーカーが走り去る仮面の男に目を向けた瞬間、上空からデスワームがシーカーを飲むかのように上から降って来た。すぐに気付いたシーカーはすぐさまボードを捻って急速発進して間一髪避けた。
「あ、あぶねぇじゃねぇか!!」
通り過ぎたデスワームはこの空間に入った時と同じく、空の空間をガラスを割るように突き破りこのフィールドから謎の黒い空間へと姿を消した。
シーカーはそのまま静かに止まり、デスワームの特徴を思い出していた。
(デスワームは姿を消したら地図には乗らない……そしてフィールドに地鳴りが聞こえたら、出てくる合図だ……)
するとゴゴゴゴゴと大きな地鳴りがフィールドに鳴り響いた。シーカーは周りを見渡し、刀を握り緊張しながら警戒する。デスワームに丸呑みされたら、抜け出すのはほぼ不可能。だからこそ、一瞬の油断も出来ないのだ。
「来るか……」
唾を一回飲み込んだ瞬間、ヒビ割れの音が背後より響き渡った。そして咄嗟に後ろを振り返えると、空間が割れておりその中からデスワームがグロテスクな大口を開けて飛び出て、シーカーを飲み込もうとした。
「ぐわっ!!」
咄嗟にダッシュボードで避けようとしてシーカーだが間に合わず、まっすぐ猛進するデスワームの体部分が激しく接触してしまった。
「うぐわッ!!」
激痛が走る中、接触した衝撃でボードと刀は弾き飛ばされた。そして激しく回転しながら近くのビルの壁に叩きつけられた。
シーカーは接触した自分の痛みに耐えながら横腹を抑え、デスワームの動きを用心して見ていた。
「うっ……また来るか」
更にうねうねと体を捻らせながらシーカーを捕食する気満々でゆっくりと進んで来る。この時全身は通常の倍である約40mくらいである事が分かった。
だがそんな事を考えている暇もなく、シーカーはすぐにボードに乗り、反撃をしようとデスワームに向けてボードのロケットを噴射させた。
「休む暇くらいくれよな。全く!!」
臆するなく刀を構えてデスワームの正面に突撃する。
デスワームが大きく口を開け、飲み込もうとするとシーカーはボードごと一回転しながら上昇しギリギリで避けた。そしてボードに引っ付いた状態で宙吊りとなった。だがボードには磁力により宙返り状態でも引っ付いていられるのだ。
「行っけぇぇぇぇぇ!!」
そのまま刀でデスワームの頭部の皮膚から刀を突き刺し、その状態で真っ直ぐにロケット噴射し始めた。全速力で進むと皮膚が魚を捌くように捲れて、緑の血を噴水のように噴出した。シーカーもその硬い皮膚から刀が離されないように全力で押さえつけた。
「うおぉぉぉ!!」
顔は緑の血に塗れ、汚い匂いも付いたがそんな事を気にしてる状況じゃない。
だが、流石に痛かったのか身体全体を揺らし、シーカーを離そうと急に暴れ始めた。シーカーは身の危険を感じて、半分くらいしか攻撃してないが、一旦ワームから離れた。
「ちっとは効いたかぁ‼︎」
大きな悲痛な鳴き声をあげながら、近くのビルの中に突っ込んで破壊して、空間を破り再び何処かへ消えて行った。
シーカーは消えていくワームを見て、一旦落ち着いた。
「ふぅ……何とか一撃加えたが、まだ致命傷とまでは行かないか」
そしてデスワームを警戒する事数分が経ち、何も起きない。そうビルの向こうの空間を覗くいていると、ビルの中から何やらくねくねと動く気味の悪い幼虫が何十匹もビルの破片を葉っぱを食うように食い荒らしていた。
「……そうか奴は幼虫を産むことが出来るんだったな」
すると幼虫達がシーカーに気づいてビルから飛び出て、宙に浮きながら一気にシーカーを囲んだ。
そして息が合わせるように一斉に襲いかかる。
「クソッ!!来やがれ!!」
シーカーはすぐに刀を出し、幼虫達を一匹一匹確実に切り裂く。切り裂くたびに緑の血が飛び散り、紫の道着が緑色のネバネバとした血が更に付着した。
「何匹も何匹も気持ち悪い〜!!そして臭え〜!!」
最後の1匹を切り裂き、一旦息を吐き落ちつかせて、血を拭き取るシーカー。そして一度近くの壊れていないビルへと移動する。
その最中メサを操作し、ある事を調べる。
(奴の弱点……確かあれだ)
メサのモンスター図鑑では一度討伐したモンスターの情報が閲覧出来る。シーカーはそこのデスワームの項目を見ていた。項目を見て、ある事を閃いた。
「これだ!!」
ーーーーーーーーーーーーーー
ビルの中……静かに息を潜ませ、デスワームの出現を待ち、窓から外が見える部屋にいるシーカー。左手には昔のゲームにありそうな黒く丸い野球ボール位の大きなの球体を持っていた。
「さぁ来い……デスワーム」
そしてフィールド全体に大きな地鳴りが起き、付近のビルが揺れ動いた。
「来たか……」
目の前の空付近から、空間にヒビ割れる音が聞こえて、徐々に割れ始めてきた。シーカーはその球体を握りしめた。
そして空間が割れた瞬間、その球体を外に思いっきり投げ、すぐに両耳を塞いだ。
「これでも喰らえっ!!」
ビルの外の空間からデスワームが出て来てシーカーのビルを襲おうとした瞬間、投げた球体はキーーーンと耳に響くような金属音がフィールド全体に響いた。
その音にデスワームの動きがおかしくなり、大きな鳴き声をあげながらシーカーがいる階の下の階に顔を突っ込ませて生気がなくなったように身体全体の動きが止まった。
デスワームの弱点──それは大きな音であった。デスワーム自身、相手の地面を踏む音などを探知しながら地面から攻撃を仕掛ける怪物。だが、今回投げたシーカーのアイテムが激しい金属音を鳴らした事により、デスワームの耳に異常を起こして、通常の行動が起こせなくなった。
「結構高いんだぜ、これ。でも、今のうちに!!」
シーカーはビルから飛び降り、デスワームの背中に着地し、尻尾へと向かって走った。
最後尾にたどり着くとシーカーは刀を振り上げ、尻尾に向かって思いっきり振り下げた。
「この尻尾が邪魔なんだよッ!!」
尻尾3m程を切り落とした。デスワームはまた悲痛な鳴き声をあげながら、無理矢理動きビルを突き破って行った。シーカーはすぐにボードに乗ってその場を離れた。
デスワームはUターンし、シーカーの元へとまた向かって行った。シーカーは動きを止め、デスワームが来るのを待ち構えた。
「もうお前なんか怖くねえぜ」
余裕の表情で待ち構え、赤いクリスタルを10個、デスワームの方向に出して浮かばせた。そして5m圏内に入り、大きく口を開けた瞬間、赤いクリスタルを全て口の中に発射し、デスワームからすぐさま離れた。
「皮膚の防御は硬くても中の防御はどうかなぁ〜⁉︎」
デスワームの体内は赤く光り輝いた。そして体内から爆発音が1発2発する度に、腹が膨張してった。
そして最後の1発が爆発した瞬間、腹が爆発し腹から穴が空き、緑の血を雨のように撒き散らしながら下へと落下して行った。
マップを確認すると、デスワームの反応がなくなり、身体の力も抜けて一安心する。
「はぁ……はぁ……何とか倒したか……」
息も荒い中、デスワームを倒して一安心した瞬間、背後から大きな影がシーカーを包み込んだ。
「……嘘だろ」
シーカーの背後に先程のデスワームより2倍以上の幅と長さのデスワームが、音もなく真後ろから現れたのだ。
さっきとデスワームが開けた空間の穴よりこの大型デスワームが現れたのだ。
「な……」
瞬時にデスワームに背中を向けて逃げようとしたが、背中にもろデスワームの体当たりが直撃し、最初に壁に叩きつけられ、壁をも貫き、ビルの部屋の中にぶっ飛ばされた。
「うっ……な、何てパワーだ。でとら俺のHPはまだ……!?」
立ち上がり外に出ようとしたが、デスワームは攻撃を止める事なく、尻尾でシーカーがいる階に鞭で打つように攻撃して来た。攻撃はまたもや直撃し、ビルは横に真っ二つに割れた。
シーカーはビルの破片と共に身体中ボロボロの状態で、ビルの瓦礫に浮いていた。手も足もピクリとも動かず、HPもほぼ0に等しかった。
「……ここでデータが消えれば、将呉の仇が……」
手を空に伸ばし、将呉の仇の事を思う悠斗──だが、次の瞬間、悠斗ことシーカーが見た光景は、大型デスワームが目の前で口を大きく開けていた。
乗り込まれる、だが手足は動く事は出来ず、抵抗を諦めた。
その時メサから、知らせが届いていた。
その知らせとは──
ーー特殊スキルを解放しましたーー
ーースキル名:刻印.タイプ炎ーー
「……これは」
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