第百四十九話 選択はいつも
結局、引いたのはシャリーだったので何もない所を突っ切る事に加えて蛇行する事にしたプレクス一行だったが案の定流星群を出た瞬間にラミアムに数発撃たれ牽制された。
「クソっ、俺達はモグラ叩きじゃねぇぞ……」
「やっぱ、敵さん悔しいけど腕は確かッスね」
蛇行が前提の動きだった為、被弾せず避ける事はできたのだが。
「あのラミアムが使っている狙撃銃すげぇな」
「名称、カルワリオ。威力は弾にしたものによりますが、特殊なスコープで狙う事でほぼパイロットの狙い通りに障害物や物理法則に関係なく当てる事ができます。パイロットの腕と弾次第では中型ナイトメア艦よりも驚異になりえます」
「弾?」「はい、腕や目玉又は内臓や頭蓋等人間のパーツから生命エネルギーを絞り出して弾に加工し発射します。無論、パイロットの人間としてのパーツも使う事が出来ます」
「相変わらず、胸糞悪い兵器だな」「ご安心ください、カルワリオは一品モノです。あれを壊したら、ライブラリと錬金塔を持たない人間になおす事はできません」
それを聞いた瞬間、全員の視線が響にいくが響はブンブン首を横に振った。
「本当、そのライブラリもってんのがこれで良かったわ」
「全くだ」「ですね……」
「だが、そう言う事なら是非追いついてくれや。俺がぶっ壊す」
腕を鳴らしながら、フランが張り切るのをシャリーが音の出ない拍手と笑顔で応援する。
「にしても、遺産の残数まで判るのはありがてぇな」「あくまで、ライブラリで判るのは製造された数で、残存数ではないのですが」「それでもだよ、俺達艦族を始め殆どの人間は遺産がどの位の数この宇宙にあるのか判らねぇからお宝さがしなんてしてんだしな」
そうこうしてる内にもぐいぐいと距離を詰めるプレクスに、ラミアムは焦っているのかしきりに弾を飛ばしてくる。
「クレズ、後距離はどの位だ?」「まだ、二十万はあります」「本当、狙撃型にしちゃ足が早いなあれ」「クレズさんの索敵範囲じゃなきゃ、確実に逃げられてた」
プレクスは、他の艦と比べてもぶっちぎりで速い。具体的に言えば、先日モブがライブラリを元に調整を施し。全力のナラシンハの三倍近く速度だけなら出る。むしろ、四割減でもまだその辺の軍用中型艦よりも速い。それに、一撃で当てたラミアムが可笑しいのだ。
「クレズ、接敵予想はいつだ」フランが尋ねると、「このペースを維持出来れば十分以内に虚数空間を用いてフランさんを送り込む事は出来ます」「よ~し」
「ただそれにはマスターの許可が……」ぎゅんと血走った眼を向けるフラン「許可するッス」秒でそれに返事する響。
「かしこまりました、接敵次第敵体内にアウトさせます」
「頼むッス」(いやぁ、許可なんかいらねぇッスからさっさと送り込んでくれっス。超怖いッス)とか内心思っていた。
「俺が先行して殴り込む、お前らはその間も距離を詰めてくれ。合図したら俺をプレクスに戻して任務完了だ」そういって、首の後ろから小型爆弾を出してチラ見せする。
「クレズ、これであのカルワリオは壊せるか?」「カルワリオは寄生型です。爆弾で強化兵の足を止めるなら可能ですが、壊すのはヴェルナーでないと不可能です。心臓部までの地図は別途視界に表示致します」「それホント便利だよな……」
(これで連絡がつかなくなれば、彼女だったという事)
セリグは、拳を握りしめ今追従しているラミアムを睨みつけていた。
そうこうしているうちに、ついに追いついてフランの姿がコクピットから消えた。
「行ったッスね」「響、頼むから悪用すんなよ」「精々、艦長のおやつが減るだけっスよ」「それを世間では悪用っつーんだよ」「まぁまぁ……、コックである俺がきっちりおやつは用意させて頂きますので」
「減らしますか?」「冗談っスよ」「人の冗談は難しいです」
最期の言葉に、シャリーとフェティが思わず噴き出した。
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