第七十三話 宇宙(そら)へ羽ばたいて
結局、RXに長居してしまった一行。
「良し!直った」とモブが両手を天に掲げガッツポーズした瞬間に響がその両肩にポンと手を置いて「じゃぁ次の星にいくッス、このままだと予算的に干上がるッス」
すすっと、残金の帳簿をモブの前に持って渡す。
「うぉっ、もうこんなに減ってんのか。こりゃ、早めに近場のアクリスに行って仕事しないとやべぇ」
静かに頷く、響の顔も心なしかゲッソリしていた。
「幾ら、楽しいゲームでもこうも毎日カフェいってゲームしてるだけだと腐るッス」
シャリーちゃんがあんなに勉強して、フランはしっかりトレーニングして。
女性陣の逞しさを思い浮かべ、「いや、俺は修理してたしよ」とモブがいうと。
「だから、居心地悪いんッスよ」
フェティちゃんと、セリグさんも優しい笑顔で毎日夕食用意してくれるし。
「俺だけ、一人お洒落にカフェいってカフェのメニュー制覇しながらゲームってどんだけロクでもないっスか」
「ちょっと、長めの休暇とったと思って。これから、バリバリやればいいだろが」
「バリバリやらないと、働く事を忘れそうっス」
そこへ、フランがやってきた。
「艦長、なおったんだって?」「あぁ、動作チェックも終ったし。いつでもいけるぜ」
待たせて悪かったなと、モブが道具を片付けながら言った。
全員でプレクスの中に入って、シャワーやトイレのある部屋の方をモブが指さした。
「そうそう、余計な事かもしれねぇけど。ジェットバスを追加しといたから、手足は伸ばせねぇけど。良かったら使ってくれ」
(これ宇宙艦だろ、どんだけ潤沢に水が使えんだよ。ありがたいが)
「艦長、それ風呂っスか?」
「あぁ、どうせ推進機の推力あげるなら。今まで断念してた重さのものも行けるんじゃないかと思ってな。重力板も仕込んであるから、地上と変わりなく入れるぞ。後、メインタービン増やしたから。コンロも一つ増やした、これはセリグさんからの要望だな。人数も増えたし、本当はもう少し増やしたかったんだがこれの関係で断念だ」と指で丸を作った。
「そんな訳で飛んでる間に、調整やっといてくれ響君」と響の両肩にさっきやられたように手を置いて満面の笑みを浮かべた。
「あれだけ、一人で長い休暇取らせてもらったんだから。喜んでやるッスよ」
「そんな訳で、響が調整中な施設は使えないんで。都度貼り紙なり立札なり置いてくれよ」
その足でフランがちらりと、ジェットバスをのぞいてみたが手足が伸ばせないのは大人だけで割と広めの洗い場と普通の一軒家サイズの風呂が置いてあって頭が痛くなってきた。
(背中の部分にジェットが出る様な、噴射口が肩と背中に当たる形に三か所)
「最初はシャワーがあるだけでも驚いたもんだが、コンロ増設してジェットバスにしちまってるし」
それをシャリーがじっとみてポツリと「私の昔のうちのより広い」と呟いたのをフランは聞き逃さず苦笑した。
「今まで、倉庫に使ってた区画全部使えるのはかなりデカくてよ。セブンス様々ってやつだ」
各自の自室に当たる部屋も、少しづづ広げる事ができた。シャリーの為に、小さいながらも机を買ってきて設置。後は、モブと響も含め個室になった位。
「やっぱ、亜空間収納系のもんが使えると自由度が桁違いッス。今までは羨ましくて悔しくて憤死しそうだったッス」と響も笑う。
アンリクレズも心なしか嬉しそうな声で「響様に使って頂け、私も道具としてとても誇らしい」と答えた。
「そんな訳で、セリグさんの美味しい夕食が終わったら。次の目的地は、アクリスだ。
それまでに、全員荷物まとめて確認しとけ。忘れ物しても戻れねぇぞ」
「艦長を忘れていきそうっス」「おい、俺は忘れんな」
シャリーと、フラン。モブと響の笑い声が艦内に響いた。
その後、フェティとセリグの二人にもきちんと連絡した。
「ほんじゃ行きますか!」
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