第六十五話 操舵の改造

「今までだと、可変っていっても動かせる場所は限られてたが。今回みたいな逃げ方するんならもっと可動域を広げないとダメだ……」


そういって、接続を全面的に見直し。今までは出来なかった、翼の真上までは推進機自体を移動でき。向きを変える稼働幅も五度広げ、内部制御で出力調整をもっと細かく出来る様にした上でMaxをニ十パーセント速度上昇させた。燃費据え置きで、これはかなりモブ的には頑張った。


「後は響が、これらを上手く扱ってくれるように内部を整備してくれるのを待つか……。クッソ頼りになる相棒で、いつも助かってるわ」


そこへ、響がひょこっと顔を出し「俺がなんッスか?」と尋ねたので。

「クッソ頼りになる相棒、そろそろ茶にしようぜって言ったんだよ。この前みたいに、フェティちゃん待たせてもダメだろ?」


響が時計を見ると、おやつの時間五分前だった。


「そうッスね、素直ないい子だけにこっちの都合で待たせるのはかわいそうッス」


そういって、道具を置くと。「艦長、塩梅はどんなもんッスか?」と響が尋ね「翼の真上まで推進機が移動できて燃費は据え置き、速度のMaxはニ十パーセントアップ。内部出力は前より細かくダイヤルでデジタル動かす感じで制御できるようにした」


うへ~と響が両手をあげながら、「そりゃ頑張りすぎっス、こりゃ休憩終わったら気合いれねぇと」とおどけた。



「ミスが無いのが一番だ、なんせお手製だから修理出す訳にもいかねぇし?」

「そりゃそうっス、今は俺達以外ものってるッスから」そういって、頼んだぜ?とお互いの手を握る。



「そう言う訳で、今日のおやつはな~にかなっと」艦内の集合している部屋にいくと、中央にはホットケーキではなく。生クリームケーキが鎮座して、しかもフルーツたっぷりのだ。


「RXに、ケーキ屋なんてあったっスか?」「私めのお手製です」


セリグの台詞に、響がケーキの周りをぐるりと回り。「セリグさん、菓子職人っスか?」と真顔で尋ね。「フェティ様の執事として、ある程度の事はできませんと」と答えた。


すっと、ケーキを切り分け。各員のお皿に一つづづのせ、食べ始める。



「美味しい!」シャリーがかなり大きい声をあげたので、フェティは少しびっくりしながらも自分もケーキを食べ始めた。


二人の幸せそうな顔を見て、大人達も自分達のお皿のケーキを食べようとするが。


「おっさんには優しい、甘さ控えめってやつだな」とモブがいい。

「セリグさん、ケーキ屋でもやってけるんじゃないか?」とフランも笑った。


ケーキはみるみる内に消えていき、農業惑星で食べ物を買うのは凄く安くていいものがたくさんで助かりますとセリグも満足げ。


「そういえば、風呂の調子はどうだい?不備があったら星出る前にいってくれ」

シャワーのスタンドの高さを、変えれる様にとか要望を組み込んだ訳だが。


それでも、使ってみたらこうだったらいいのになってのはどうしても出てくる。


フェティとシャリーは、お互い顔を見合わせると「「凄くいいの」」と二人で熱烈に語ってくれた。セリグも「小型艦で、あの設備は脱帽ですよ」と思いっきり太鼓判を押した。


「あの鍵かけれる部屋で洗濯できて、干せるのもいいな」とフランも満足げだった。


おやつの時間に、こうして使ってみた感想を聞いたり。シャリーちゃんやフェティちゃんが二人で仲良く過ごした話等をきいて、時間が過ぎていく。



操舵系もそうだが、重力アンカーも通常のモノだけじゃなく。次元に糸を張り付けてアンカー代わりに使えて蜘蛛の様な動きが出来る様な特殊なものを組み上げていく。



モブと響の傑作プレクスは、彼らの不屈の精神によって何処までも性能を伸ばす。

宇宙を彷徨う為に、宇宙で少しでも生きのびる為に。

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