第四十五話 つかの間の平穏
「艦長、物騒な団体さんはどうやらワープしたようッス」
響がそういうと、モブが胸を撫でおろした。
「取り越し苦労だったみたいだな、護衛頼まれていきなり二十もついてきた時は焦ったぜ」
「軍用艦でしたからね、夜道で包丁持ったフンドシ一丁の男に背後から来られる位やべーっス」
あははっと二人でジョークを飛ばしながら笑い転げていると、シャリーが「フンドシ?」と首を傾げたので「気にしないでくれ」とモブが苦笑した。
「それより、セリグさん。早速で悪いんだけどお嬢様二人にディナーでも作ってあげて欲しいんだわ」とモブが冷蔵庫を指さして「デザートは、安物ですまねぇがカップアイスな」と笑い。セリグも、「えぇ、腕によりをかけて作らせて頂きます」と袖をまくった。
「シャリーちゃんと、フェティちゃんはセリグさんの料理が出来るまで待機な」そういうとコクピットの椅子にゆったりと座る。
そして、いかにもゆったり過ごしてますよと言った感じの空気を響とフランもしだしたので。シャリーはフェティの手を引きながら「私が艦内を案内する♪」とコクピットから出ていって扉が閉まった瞬間に三人の気が抜けた。
「はぁ~、推進機二つしか動かして無かったから追いつかれると思ったわ」
とモブが言えば響も「うっかり、スイッチ入れ忘れてたっスからね」と答え。フランがあきれ顔になった。
「あんだけ大丈夫ですって自信満々に言って、出発早々捕まったんじゃ洒落にならねぇぞ」「わーってる」
なんかいつもよりスピードが出ないなと思って、よく見たら推進機のランプが消えているのを見つけてヘァ!なんて声が出た二人。
「さっきの連中、ワープゲートあけてたからな。どっかで待ち伏せする気だぞ」
「わーってる」
「ベテラン傭兵様なら、何処で待たれると思いますか?」
モブがふざけて言うと、気持ち悪いからそれやめろとモブの背中をかるくはたいた後。
「一つは、宙域。単純に俺達が最短コースを通ってるから通せんぼみたいに待つ。もう一つはデメテルについた後に、都市に到着前で待つ……だな」
奴らは、武装してる艦隊だ。なら兵器の縛りが無い宙域で襲う方がやりやすいだろ。
もう一つは、デメテルについた後だな。こっちの場合は対人で余程自信があるって事になるが……。
そう言いかける、フランにモブが苦笑しながらいった。
「じゃぁ事実上、宙域一択だな。逃げきりゃ俺達の勝ちだ」
「なんでそうなる?」
モブがやれやれとやりながら、フランを見ながら言った。
「単純な話、俺ならA級傭兵とやり合うなら。艦隊が、千以上なきゃお断りだからだ」
A級ってのは実績もそうだが、(個人で)ってなると本当に手で数えられる位しかいねぇんだよ。例え、片腕を失って本来の力が出せなかったとしてもだ。B相当の力があるとみつもりゃ千以下で喧嘩売るなんざ自殺志願にしかなんねぇよ。
「軍人でそれが判らない奴は、長生きしないっス。フランさんは、自分がA級だから判らないかもっスけど。外野からしたら、それ程Bから上の連中は戦場で会いたくないエイリアンや強化機械人間みたいなもんっスよ」
味方なら頼もしいッスけどねと響が笑い、フランもそういうもんかねと笑った。
「まっ、俺達はいざという時の為にのんびりシャワー浴びて。飯食って、睡眠たっぷりとりゃいいんだよ。オートパイロットもあるし、ゆったりいこや」
そういって、鼻を引くつかせながら。
「あの執事、クッソうまそうな匂いさせやがって。客じゃなかったら、俺も頼みてぇ所だ」
「俺達は、いつものインスタントっス」
そういうと、フランも慣れた様に「ほら、水」とすぐに動いて二人の前にお盆で持ってきた。
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