第四十二話 設備たち
「響、暖気始めといてくれ。説明終わったら離陸すっから」
「了解っス」
それだけ言うと、響はコクピットに行ってしまった。
「セリグさん、こっちが医療ポッドだ」
親指で奥を指し、もし万が一を考えると場所を知った方が良いとセリグも考えモブの後をついていく。
「一人用ですね、それにしてもこれは弄られてますか?」
「あぁ、怪我だけでなく。病気にもある程度は対応してるが、腕を復元する様ないいポッドじゃないから過信は禁物だぜ?」
(そんな、復元機能がついているポッドなんぞ中央艦にしかついとらんわ!)
「後は、シャワーとトイレだが個室で二個づつある」医療ポッド室のさらに奥を指さしながら言うのだが。
(水洗じゃねぇか! バキュームは奥でやってんのかこれ匂い対策か?それを二つづつとかどんな神経してんだっ!!)
という心の声を押し殺し、モブに尋ねる。
「機密でなければ教えて頂きたいのですが、水は何処から?」
「あぁ、これか?うちの推進機は、宇宙を飛んでる時に一度全部外周部で氷や宇宙ゴミも吸い込んで奥にあるイオン動力にほおりこむ。んで氷を電解する時のプラズマで飛ぶ、プラズマを発生させると氷は水と酸素に変わってろ過装置をとおって。艦の中で使えるようになるんだよ。エネルギーを使うのは、宇宙ゴミを内燃で燃やす時に使って電力等に変換畜エネルギーやバッテリーにいってる。畜エネルギーが、イオン動力を動かす形だな」
(何処で売ってんだよ、そんなすげぇ推進機!)
という心の叫びを、奥歯が割れそうな程噛みしめながら言葉を飲み込んだ。
「つまり、水洗で流れた先は内燃機関でカスが宇宙に排出される形……という事ですか」
「そうだ、ただスペースや水量の関係で風呂までは用意出来なかった。今後の課題だな」
そうモブが説明すると、セリグは溜息を零した。
「この艦は翼に四基づつ。尾翼に隠し推進機二つ計十個の推進機でそれをやるって訳だ。隠し推進機は余程じゃなきゃ使わねぇ、理由は機体の内部がひっくり返るからだ」
死にたくない時は遠慮なく使うがと笑うモブに、セリグも料理中に火傷しないようにしなくてはと肝に銘じることにした。
「この隠し推進機を使って、逃げれなかった事はない。安全性の根拠って奴だ」
「なるほど、頼もしいですね」
「他に聞きたい事は?」
「キッチンを見ておきたいです、お嬢様に変なものは食べさせられませんので」
「そりゃ、コクピットのすぐ後ろだ。今から行くから勝手にみてけ。まっ俺達の分もあると助かるが客にいう事じゃねぇよな」とモブとセリグが、がっちりと握手を交わした。
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