第三十九話 面談
結局受ける前提で話を進める為、翌日艦長のモブとフランそれからシャリーの三人は再び傭兵ギルドを訪れていた。
「という訳で、艦長を連れて来たから詳しい話を一緒に頼みたい」
「直ぐに、依頼者を呼んできます!」
約三十分個室で待たされると入って来たのは、難しそうな男とシャリーと同い年位の少女だった。
「あなた方が、依頼を受けて下さるそうで」
「詳しい話を聞かせてもらって、それで判断するつもりだ」
モブと難しそうな男が、軽く握手を交わす。
「依頼は、人を二人のせた護送って事で良いんだよな?。一応、こっちのフランが個人でランクAの傭兵。俺は、プレクスの艦長のモブってんだ」
難しそうな男がフランがタイミングよく出した傭兵の身分証をまじまじと見つめ、一つ頷く。
「確かに、その位の強さで無くば到底安心できないからこその依頼なのですが。お嬢様と私を惑星デメテルの中央都市ハクセライまで護送をお願いしたい」
「期限は?」「四か月以内であれば、成功報酬を満額お支払い出来ます」
「はっきり言っとくが、うちの艦はボロだぞ」
「個人でAの方がいる艦ともなれば、性能に振って外は偽装でしょう。承知しております、わざわざ護送をお願いする状況なのに派手な艦に乗るのはアピール目的以外では褒められたものではありませんし」
モブは、その言葉に眼を細めた。
「やけに判ったような口をきくじゃないか」「なに、執事等やっておりますと見栄っ張りやら口だけ達者な連中とよく会うだけの経験則ですよ」
「前金は、食料、水、エネルギー込みって事でいいんだな」「はい、私の命は最悪なくなっても構いませんが、お嬢様だけは確実に絶対にハクセライに無傷で健康体で到着させて頂きたい」
モブがバカいえ、二人ともちゃんと届けて見せるさ。届けた後の事はしらねぇけどと苦笑した。
「事情とか、お聞きしないんで?」「クライアントが、きいて欲しいってんなら聞くが?」「いやはや、頼もしいですな」「到着まで安全は保障するが、さっきも言った通りボロ艦だからな。お偉いさんが期待する様な快適空間じゃねぇぞってとこは念押しするぞ」「安全さえ確保して頂けるのであれば、我慢致しましょう。私どもが提示する前金では、艦隊を雇うのは無理がございますからな」
「判った、それじゃ五日後にここに来てくれ。迎えに来る」
「畏まりました、我々も準備を済ませておきます」
それだけ打ち合わせをして、モブ達三人は部屋から出ていった。
執事は艦長達が消えたドアを見つめながら、「我々はまだ見放されて無かったようだ」と呟く。「じいや……」心細そうに俯く少女の背中をさすりながら優しく言った。
「彼は、本物ですよ。護送で事情も名前も聞かず引き受けるなんてのは、下調べや裏をきっちり取ったり自信がある証拠です」と少女に優しく説明する。
「そんな彼が、安全は保障すると言いました。なら艦の中は安全です。むしろ、艦に乗るまでの五日間の方が我々にとっては危ない」私が、五日間徹夜してお守りし。その間に着替えやらなにやらを買い込みましょう。
少女は、ゆっくり頷いた。
(五日後から寝られると思えば、もう少しこの老いた体に鞭打って働きますか)
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