第22話
※主人公の性悪な場面があります、ご不快になるかもしれませんがご容赦を⋯⋯
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「─────おい、この短刀はなんだ?真正な模擬戦を邪魔すんなよ」
「これはもはや模擬戦とは言えません、貴方が一方的に弄んでいるだけです」
「いや、審判止めてねえーじゃん。なら続けてても問題ないって事だ、死に繋がる攻撃は一切してないぜ??」
レイは模擬戦のルール内で遊んでいたに過ぎない、確かに筋は通っていたがギルドマスターはレイへの苦言をとめない。
「この地面に寝ている冒険者達の自尊心を粉々にする気ですか? 彼らが一生冒険者に復帰出来なくなったらどうするのです?」
「そんなの自己責任だろ? こいつらが絡んできたから俺は対処してきただけだ。それにギルドは冒険者同士の争いに関与しないんじゃなかったのか? まさかこいつらだけ庇うとか言わないよな?」
「君の性格には難が多いようですね、星四へ最速で昇格したようですが冒険者とはいえ品性が欠けすぎている。このままだと昇格どころか私の権限で降格させることになりますよ?」
『降格』と口にした途端ギルドマスターの口元が吊り上がり勝ち誇った笑みを浮かべている、この時レイはチンピラ達を自分に差し向けたのはこいつだと確信した。
「⋯⋯OK、つまりお前は俺と敵対するって事でいいんだな?」
「私はギルドマスターですよ?一冒険者でしかない君にどうにか出来る相手では無いのですよ」
レイは静かに短刀を抜こうとした時。
「レイ君!お願い抑えて!!」
「サシャか、悪いが俺もここまでされちゃ黙ってられねえよ」
「⋯⋯君がサシャさんを誑かした、だから彼女はおかしくなってしまった!私のサシャさんを返せ!!」
「⋯⋯⋯は?」
(おいおい、まさかこいつも嫉妬で復讐したかったとか言わねーよな??⋯⋯呆れた)
昼ドラみたいな展開に思わず呆気に取られるレイ、このような展開になるとは微塵も考えてなかった。
「サシャ、悪いが俺はもうここには来ねえわ。あばよ〜〜」
「待ってレイ!お願い!!」
「いやいや、俺にお願いする前にあの陰険ストーカー野郎をどうにかしろよ」
思わず二人きりの時にしか使わない呼び捨てをやってしまうサシャ、レイはため息を吐きつつも先にやって欲しいことがあった。
「なに!?私は純粋にサシャさんを想っているだけだ!それを君が邪魔したのだ!!」
「⋯⋯⋯ほらな?俺は男女のイザコザに首っ込む気はねーよ、例え俺も当事者でもな」
「⋯⋯分かったわ、私が何とかする」
「ったく、お前どんだけ人気者なんだよ」
レイはウンザリした表情で訓練場を後にした。
◆◆◆
(さて、くそ意味わかんね〜展開を終えたところだが。さっさとこの街から出ていくか)
いよいよコンタリア王国へ向けて街の出口に向かっている所へ、サシャが走ってきた。
「レイ!ちょっとどこ行くの!?」
「はぁ〜、どこって街を出ていく所だが」
「その前に会って欲しい人が居るの」
サシャの言葉を聞いて再度ため息を吐くレイ、体の関係を続けていたがサシャまでも鬱陶しく思ってしまった。
「その会いたい人ってのは大体想像つく、ギルドマスターをどうこう出来るのは限られてるだろうしな。だがこれだけ言っとく、謝罪したいのに俺を呼び出すのはおかしくないか? それが例え身分が違うとしてもだ!!⋯⋯⋯行ってもいいがこうして呼び出された件も俺が譲歩したという事を忘れるなよ」
「⋯⋯分かったわ、本当にごめんなさい。案内するわ」
異性だろうと筋が通ってなければ遠慮なく怒りをぶつけるレイ、そして案内されたのは予想通り街の最奥にある立派なお城だった。
サシャは城に案内したことをとてつもなく後悔していた、レイは怒気を抑える気もなく全開にして城に入っていく。城を守る警備兵も怯えて動けない中、サシャは前を歩いていた。レイの怒気がもろに背中に当たっており冷や汗が止まらない⋯⋯。
「⋯⋯失礼致します、冒険者レイをお連れしました。入室の許可を頂けますか?」
「あぁ、入りたまえ」
「めんどくせー⋯⋯」
レイの小声の呟きを聞いて、サシャはこれから起こることを想像して憂鬱になりつつも扉を開ける。部屋の真ん中に置いてあるソファにスラッとした体をしている初老の男性が腰掛けていて、男の後ろには鎧を着た騎士二名が護衛として控えていた。
「⋯⋯⋯レイ、このお方はドスカータ公爵家当主のガンダルフ様よ」
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