第18話
「⋯⋯ふぅ、気持ちよかったぜ。ありがとな」
「はぁ、はぁ、はぁ〜〜。ちょっとレイ、あなた凄すぎよ⋯⋯私がハマっちゃいそうだわ」
「それは困るな〜。てか純粋になんでギルドの時はあんな感じだったんだ?」
「初めは素で働いていたけど、余りにもナンパが多いから敢えてあんな感じにしたのよ。そうすればナンパをかわしやすくなるでしょ?逆にプライベートは静かな感じにする事でバレないし」
「じゃあ俺はラッキーだったってことか、今のサシャは超綺麗だし魅力的だしよ」
三回戦まで及んだレイとサシャの勝負は、前世で培った技を駆使したレイの勝利に終わった。
「それにしても、こんなに凄いって知ってたら誘い断ってたわ、抜け出せなくなるじゃない」
「俺はまた抱いても良いぜ、てか抱きたいくらいだ」
「⋯⋯随分ストレートに口説くのね」
レイが体の関係を求めていることはサシャにも分かっている、27年生きてきてそういった経験は何度もしてきた。ただこんなにも直接的な言葉を言われたことは無い、サシャは頬が赤くなっているのを自覚しレイへ背を向けた。
「⋯⋯今日はもう帰るわ、明日も仕事だし」
「そうか、俺もギルドによるだろうからよろしくな」
◆◆◆
「ん、ふぁ〜〜あ⋯⋯朝か」
毎朝欠かさない《クリーン》で身体をサッパリさせたら、食堂で朝食を食べてギルドへ向かう。
(ん?、なんか見られてるっぽくね??しかもこの雰囲気は⋯⋯暗殺者とかそういう感じだよな)
「はぁ〜〜〜、俺がこの一日で何したって言うんだ?」
チェバンスタへ来て僅か一日しか経っていないのに、狙われる理由がさっぱり分からないレイ。 朝から憂鬱な気持ちになりながらも、尾行は気にせずギルドへ向かった。
「あら、レイ君⋯⋯なんだか浮かない顔してるわね、何かあったのかしら?」
サシャは抱いた時と違って、また妖艶な雰囲気に戻っていた。 ただレイを一目見て少しだけ不機嫌なのが伺えた。それはただの女としての勘なのか、はたまた抱かれた異性の変化にはいち早く気づくものなのか⋯⋯
「まあ色々とな、この依頼を頼む」
「そう?はい、依頼書ね⋯⋯薬草採取?なんだか意外ね」
「実際やったことないしな、経験しといた方が良いと思ってよ」
レイが今まで受けてきた依頼はギルドへ記録として残っている、薬草採取など受けたことが無いレイがいきなり受けた。 この場では聞かなかったが、確実に何かあると予想したサシャ。
「⋯⋯そりゃまだつけてくるか、」
依頼を受けて街の外へやってきたレイ、当然のごとく朝からつけていた者達は街の外へも尾行を続けた。 だがレイは気にせず薬草採取を始めることにした、見られてる距離的にも相手が行動に出るとは思えなかったからだ。
「ずっと見られてるな⋯⋯鬱陶しくてしゃーないっ!?」
文句を言いながらも薬草を引っこ抜いてると、小さい針がレイ目掛けて飛んできた。それをレイは短刀で弾く。
「この世界にも吹き矢ってあるのか⋯⋯ちっ、もう逃げやがった」
恐らくレイが吹き矢を弾くのも想定内だったのだろう、対処している内に気配は完全に消えていた。
「もういいや、帰ろ」
完全にやる気を無くしたレイはまだ日は傾いてもいないが街へ戻ることにした。
「レイ君早かったわ、ね⋯⋯朝より機嫌悪そうね」
「あぁ、でも一応依頼された量の薬草は持ってきたぞ」
「⋯⋯一応聞くけど、何があったの?」
「大丈夫だ、俺の問題だからな⋯⋯多分」
なんとなく、本当になんとなくだがこの件はサシャと寝た事が原因ではと思っている。 ただそれだけの理由で暗殺者を雇うなど馬鹿げている、サシャがチェバンスタでどれ程の影響力を持っているか分からないが、あの美貌ともなれば有り得なくもない。
夜、宿で寝るとき一応結界を張っていたレイは結界に反応が出たことで起こされた。
(あ〜〜〜やべぇよ、まじストレスが溜まる。この国助けるの辞めるか?もうどうでも良くなったわ)
「とりあえず俺にちょっかい出してる組織は潰すか、どうせ小さい組織だろうし」
《妖魔術・白虎》
これもレイのオリジナル魔術で、前世も含めて想像しやすい妖怪を魔力で具現化し契約を結んだ術。体のサイズを自由に変えることができて、猫くらいの大きさから最大5メートルを超える大きさまで変化が可能。
『随分久しいなレイ、どうしたのだ?』
「悪いな白虎、この吹き矢の持ち主を探し出して敵のアジトまで見つけて欲しいんだ」
『承知した、早速行くとしよう』
白虎に任せれば特定も早い、安心感から再び眠りについた。
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