第16話
街を出て少しすると驚くべき事実が発覚する。
(にーしーろーやー⋯⋯え、どんだけいるん? そんなに俺を殺したのか!?尾行してくるの数人かと思ってたんだが)
街中での騒動は面倒でしかないと思っていたレイは、尾行を幾度となくまいてきた。 街を出ればもう遠慮は要らないためゆっくり歩いていたのだが、予想の倍以上の人数がいたことに驚いていた。 少しすると囲まれたレイは立ち止まって相手が出てくるのを待つ
「ちっ、やっぱり気づいてやがったか」
「一応聞くんだがなんで俺を狙ってたんだ? やっぱマジックアイテムか?」
「それもあるが単純にお前が気に食わないんだよ、星四に昇格したのもセコい手でも使ったんだろ?」
「⋯⋯うーん、セコいと思われてもしょうがない事はあったな」
レイ自身は何もセコい事はしてないが、周りが多少無理に昇格させた為人にセコいと思われるのは仕方がないと思い正直に話した。
「はん、やっぱりか。俺たち全員でやれば楽勝だろ」
「ここ数日かなり稼いでるって聞いてるからな〜、美味い酒が飲めるぜ」
モブ達がピーチクパーチク言ってるがレイは気にせず、静かに短刀二本を抜いた。
「こいつの切れ味を人で試すことになるとはな⋯⋯じゃ、行くぞっ」
「え、?」
「どこいっ⋯⋯」
「は?全く見えっ」
約五秒間で15人全員の首を切り落とした、クルトのダンジョンを出て始めて身体能力で本気を出した瞬間だった。
「っし、じゃあ行くか〜。死体は魔物が食ってくれる⋯⋯ってダンジョンが出来てから減ってたんだわ」
仕方なく全員の死体を燃やしてから出発した。
◆◆◆
スークプトの小さい街等は立ち寄らず首都へ全力疾走で向かっていたが、流石に一日では辿り着かず野営をすることになった。
(さて、割と楽しみにしていたマジックテントを使う時が来た!⋯⋯えっと、魔力を流して少し経てば拡大するって話だったけど)
「あれ、あんまデカくならなかったな。5人くらいは寝れるって言ってたんだけど⋯⋯⋯マジか」
大きさは前世でも見慣れたサイズのテントにしかならなかった為、落胆しながら中に入ったレイは目を見開いた。広さはもはやテントではなく天幕という方が正しい。
(まさかテントの中だけ『空間ごと』拡張されてるとはな⋯⋯場所取りで苦労しないようにってことか、いたせりつくせりなマジックアイテムだな)
そこでレイはある可能性に気づく。
(もしかしてベッドとか置いたりカスタマイズ出来るのでは?貴族とか既にやってるんだろうけど、睡眠効果を上げるベッドとか寝袋をテントの中に入れとけば、いつでも快適に寝れるわけだ)
「ただ見張りをどうするのかっていう点が唯一の弱点だな⋯⋯まぁ俺はどうとでもなるんだが」
《風系統魔術・魔障庭園》
テントの周りに透明の結界を張ったレイはマジックバッグから狩った魔物の肉を取り出し焼き始める。
「やっぱ魔物の肉美味いな〜、日本のブランド肉より上なんじゃね?」
前世は金持ちだった訳じゃないが高級肉は何度か食べたことがある、それと比べても魔物の肉は美味い。
(ドラゴンの肉とかどれだけ美味いんだろうな⋯⋯まぁ異世界転生者は何故かドラゴンに会うみたいだしその内会えんだろ)
「ん⋯⋯あれ?、あー、野営したのか」
野営したのを忘れるくらいぐっすり寝れたレイは、走り続けること3時間。遂にスークプトの首都チェバンスタへ到着した。
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