第5話
異世界テンプレを堪能し、賭け金もゲット、ランク昇格を果たしたレイはルンルンで仕事の出来る受付嬢が居るカウンターへ戻ってきた。
「⋯⋯その様子を見ると勝ったようですね、星二となると手続きのし直しになりますが、一旦ギルドカードをお渡しします。明日またいらしてください、星二への昇格の印をカードに読み込みます」
(俺が勝っても大して驚くこともないか⋯⋯この姉ちゃん何者だよ。仕事できすぎて女傑じゃん!)
「それと賭け金ですがギルドカードに入っていますので、確認を。カードに入っているお金は他のギルドでも引き出すことが出来ますので、ただ余りに大金の場合は止められるかも知れませんが」
「⋯⋯⋯⋯⋯銀行じゃん」
「はい?」
「いや、なんでもない。とりあえず仕組みは分かった⋯⋯ところでこの街でオススメの宿ってある?」
出来る受付嬢(いい加減名前聞け)の説明を受けたレイ、ギルドカードが予想以上に優秀で前世の銀行を思い出していた。
「オススメの宿ですか⋯⋯料金は高めですが《大地の恵み》という宿は街一番の宿ですよ」
「⋯⋯壮大な宿なんだろうな」
「ふふふ、名前を聞く限りではそうかもしれませんね。ですが普通の宿ですので安心してください」
今まで一度も表情を変えなかった受付嬢が微笑んだ、その笑顔を見てドキッとしてしまったレイ。 周りにいた冒険者も滅多に見ないのであろう、その笑顔に驚いていた。そしてその笑顔を向けられたレイに嫉妬と憎悪の視線を送る。
「⋯⋯ん、こほん! じゃあ早速宿に向かうとするわ、色々助かった」
「はい、私はティアと申します」
「ティアさんね、どうも〜〜」
手をヒラヒラさせながらレイはギルドを後にした。
ギルドを出たレイは
見た目はごく普通の宿だが、手入れは隅々まで行き届いており清潔な印象を受ける。元日本人のレイから見ても綺麗と言えるような宿だった。
「すみませーん、宿取りたいんですけど〜」
「あら、見ない顔だねぇ。今日この街に来たのかい?」
「まあな、さっき冒険者登録したばっかなんだ。この宿をオススメされて来たって訳よ」
「そりゃありがたい、ウチは一泊3000リルで朝夕の食事付きだよ」
「とりあえず3泊分払うよ」
「⋯⋯はい、ちょうどだね。2回の奥から2番目の部屋を使ってくださいな。リリー!お客さんの案内頼むよ!」
女将さんが呼ぶと奥から可愛らしい娘が出てきた、リリーと呼ばれた娘の後に続いて2階に上がる。
部屋に入るとベッドに倒れ込む。
なんだかんだ、新しい環境に来たレイは知らずうちに疲れていたらしい。
(さて、とりあえず星二に上がった訳だが⋯⋯禁忌の森が落ち着くまでに星四まで上げておきたいな。クルト達ちゃんとやってくれっかな〜、割と心配になってきた)
ベットの上で今日を振り返りながら、クルト達がきちんと禁忌の森を鎮静させてくれるか考えるレイ。
(それは俺が考えても仕方ないか、ただでさえ頼んでる側だしな。⋯⋯てかこの大陸でコンタリア王国の一強状態ってのが意外だよな、よくあるパターンは帝国と二強じゃね?あと宗教国家も無いし⋯⋯禁忌の森が落ち着いたらウェーンブル帝国が勢力を伸ばすのかな?)
色々考えていたレイは、いつの間にか意識を失っていた。
◆◆◆
「⋯⋯ん、いつの間にか寝てたのか。てか身体拭いてねえじゃん!最悪」
この世界には風呂は普及していない、貴族は入ったりするらしいが一般的に風呂は贅沢とされている。超高級宿にもなれば常備されているらしいが。
《水系統魔術・クリーン》
脳内で唱えると、魔力が身体の不純物を洗い出してくれる。ダンジョン内で身につけたオリジナル魔術である。 この世界には生活魔法があるので、恐らく似た魔法はあるだろうとレイは考えている。
因みにレイが行使するのは魔術で一般的には魔法を行使する、ティアモンドから《レイは違う理で魔力を使っているから、魔法とは言えない》と言われた時は、割とショックを受けた。それでも諦めずに前世のアドバンテージを活かしてオリジナル魔術を沢山創ったレイ。
「よし、早速ギルドに行きますか!」
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