第32話 ヒイズル国

 ついに私達はヒイズル国に到着しました。

 天気は快晴! 幸先がいい気がします!


 港に着いてすぐに入国審査のようなものがありましたが、紹介状があるので何とかなりました。

 でも迎えが来るからしばし待ってほしいとのことです。



 お茶を飲みつつ、港近くの茶屋で迎えを待つ流れのようです。


 案内された茶屋では赤くて大きな傘の下、横長の椅子の上には敷布がかけてあり、そこに座ります。

 お団子と緑茶がふるまわれました。

 ここは本で見た、旅人がよく寄る場 所!!


 出されたお茶も、グリーンティーがとても爽やかで美味しい! お団子も中身のあんこがとても美味しいです! 甘くて美味しい!


 そしてこの国には、本で見たとおりに着物を来た人たちがいます。



「見慣れぬ衣装だな、そしてここの民は皆が黒髪だ」

「そうですね」



 髪色は黒、瞳も黒か茶が多いようです。

 しばしお茶を飲んでいる間に迎えが到着しました。



 ミカドの使者らしき長い帽子……烏帽子を被った方と、赤い袴の巫女服の方が出迎えに来てくださいました。


 彼らの用意してくれた乗り物ですが、水牛が引く牛車は木材と華麗な模様つきの布が使われていました。


 しばらく涼やかな竹林を通ります。

 素敵な緑の道。

 建物は瓦屋根で木造の和風建築ってやつだと思います。



 ややして赤い大きな鳥居をくぐりました。

 神秘的!

 神社を通ってミカドのいる宮まで行くのでしょうか?


 牛舎から降りたら今度は神輿が用意されていました。



 屈強そうな担ぎ手の男性が六人います。

 男性達は見事な筋肉美を曝しており、上半身が裸で、勾玉のネックレスとブレスレットをしています。



「おお、なにか新しい乗り物か?」 



 流石の皇太子殿下も驚いております。



「エリアナ、この乗り物は……人力で担ぐのか?」

「はい、旦那様、そのようです」

『どうぞ、お乗りください』

 

 会話には通訳の魔道具が使われています。

 魔道具は水晶玉で、それを巫女が持っていて、それで相手の言葉が自動翻訳で分かるようになっているようです。


 神輿の担ぎ手の男性に促され、我々は二つの神輿に乗ります。

 皇太子殿下がソロで乗り、私達夫婦がもう一つの神輿に乗ります。



 ここからの神輿移動は壁がないので外が、周囲がよく見え、素晴らしく神秘的で美しい景色が広がっています。石畳に、蝉時雨。


 それからリーンリーンという冷涼な音も。



「わぁ! 色とりどりのガラスの風鈴が通路の左右に飾られています!」


 夢の図書館の本で見たから知ってます!

 風流です! 雅です!


「なんか虫の声以外にも涼やかな音も鳴っているな」

「あの丸いガラスの飾りが風が吹くたび鳴らしてますね」 



 ガラスの風鈴ゾーンが終わるとドーンといった荘厳に響く銅鐘のような音が響きました。


 客の訪問を知らせているのでしょうか。


 その後、木造建築の宮の通路に人がずらりと道を挟むように整列して、盛大な出迎えをいただきました。



 そしてついにミカドに謁見! の前に入浴を許されました!



「風呂か、ちょうどよかった」


 身を清めてからじゃないと汗をかいていますからね、助かります。

 着替えてから謁見できます。



 湯殿に通されました。

 温かい湯気が立っていますし、なにかいい匂い。


 ヒノキの湯ってやつかもしれません。


 お風呂のお世話係の人がこの国には露天風呂もあるので、時間があるならぜひ立ち寄ってくださいと言ってくださいました。


 親切ですし、歓迎ムードのようで助かります!


 当然お風呂は男女別なので旦那様や皇太子殿下は別のお風呂で、私は旦那様とは別れたお風呂に一人で、世話係つきではありますが入っています。


 もちろん世話係は女性です。

 白い浴衣を1枚だけまとって湯に浸かります。

 全裸の方が気持ちよさそうですが、人前なので自重します。

 はー! 温かいお湯が気持ちいいです。


 お風呂から上って着替えてからミカドに謁見です!

 そしてその場でお食事も出されるようですので、

 ミカドと一緒にお食事をしつつ、和やかに旅の目的などを話せば良さそうですね。


 私は悪い外国人ではないので米と醤油と味噌をお譲りくださいと!














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