第17話 2日目の朝

 割とよく眠れた。旅先でも眠れるようになったのは年の功か?それとも1人であるが故に気を遣わずにいつも通り眠れたのか。1度もトイレに起きなかったのは驚きだった。

 ちなみに、ホテルの部屋のトイレにはシャワールームがついているのだが、びっくりするほど狭い。しかも何というか、トイレとの間には透明なガラス1枚しかなく、全くのシースルー。そりゃあ、1人で利用する事が前提だからいいのだが、なんだかこの電話ボックスのようなところで裸になってシャワーを浴びている自分の姿を想像すると、なんだか……恥ずかしい。エロ過ぎるだろ。誰も見ていなくても恥ずかしい。よって、利用せず。大浴場を利用する事が出来てよかった。

 部屋はちょい暑いが、エアコンは暖房18度設定になっていて、冷房に変えようとすると「自動空調のため、調節できません」などと出てきて操作ができない。それでも、夏のように暑くはないし、寝酒しなかったからか頭痛にもなっていない。枕が低めだったのも良かったのかもしれない。

 着替えて、化粧はせずにマスクをして、ホテル内にあるというコンビニへ向かった。もう、極力マスクは着けていないが、こういう時(ノーメイク)には便利なマスク。マスクを着けないのは、眼鏡が曇るのが嫌だからだ。それから、同調圧力に勝てず、外したいのに外せない人の為に、率先して外しているのだ。これも一種のボランティア精神だろうか。

 コンビニはここ別館ではなく、本館にあるそうだ。一度エレベーターで1階へ降り、駐車場の横を通って本館へ。サラリーマン風の何人かと一緒になった。ホテルには朝食ビュッフェがあるが、やはり出張などで宿泊する人は、朝食に時間をかける事なくコンビニで済まそうとするのかもしれない。そして、私も今回の旅は朝食で無理にたくさん食べようとせず、コンビニで済ませようとしている。朝ごはんをがっつり食べてしまうと、お昼に出雲そばが食べられなくなってしまう。おそば屋さんは大抵お昼にしかやっていないのだ。

 本館に入ると、建物はこちらの方が古いのに、ロビーがあったりコンビニがあったりと、なんだかいい感じだ。そして入ってすぐの所に看板が立っており、

「チェックインは別館でお願いします」

と書いてあった。そうか、最初にここに来た時の選択は間違えていなかったのだな。

 コンビニに入り、ちょっと迷って、サンドイッチとヨーグルトを買った。プロテインの入っているパルテノというヨーグルトにしてみた。たくさん歩くから、プロテインを摂っておくと筋肉がつくかもしれない。

 部屋に戻り、電気ポットでお湯を沸かした。なんか、コードがものすごく短い。コンセントのすぐ隣に置いているのに、それでギリギリ。ちょっと傾いているかもしれない。そして、カップに梅昆布茶の粉を入れ、お湯が沸いたらそこへそそぐ。梅昆布茶も、なかなか美味しいものだ。私は普段コンビニ飯を食べる機会がないので、こういう食事も新鮮だ。今日は四角にカットされた、プラスティックの箱に入ったサンドイッチにしたのだが、けっこうたくさん入っていたのでお腹がいっぱいになった。ヨーグルトもいつもよりも大きい。これでも量が多いのだから、ビュッフェなどではやはり食べ過ぎてしまうな。

 カーテンを開けて窓の外を見ると、青空の下の宍道湖はとても美しかった。そして、平日らしく、車がたくさん走っている。宍道湖の上にボートも多数浮かんでいるぞ。観光なのか、漁なのか、分からん。まだ7時半だから、やっぱり漁かな。

 さて、出かける支度を済ませた。出発しよう。今回、連泊プランという事でお安くなっている。それは、掃除をしないでいいという事なのだ。タオルと歯ブラシは補充してくれるが、部屋には従業員が入らないと。それでも、今までは一応スーツケースは閉じて鍵をかけて出かけたものだが、せっかくの連泊プランだし、これをまた閉じるとなると片づけが大変だし。貴重品は持ち歩くわけだし。念の為、スーツケースには現金が入っているのだが、もう開けっ放しで出かける事にした。これぞ連泊の醍醐味。

 部屋の鍵はカードキーだ。今日はこれを持ち歩かなければならない。失くさないようにちゃんとしまおう。そして、出雲大社へ向かうべく、松江しんじ湖温泉駅を目指し、ホテルを出た。

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