第18話 出雲大社へ
前日とは打って変わって青空広がる晴天である。首の日焼けを防ぐため、タオル地のマフラーを巻いて外へ出た。けっこう風が強いので、巻いただけでは飛ばされてしまう。仕方なく結んだ。タオルを首に巻いて結ぶと、途端に野良仕事感が出て、ちょっとおばちゃんっぽくなるのはどうしてなのだろう。スポーティーな服装ならまた違った見え方をするのだろうが。
徒歩で5分くらいだろうか、一畑電車の始発駅、松江しんじ湖温泉駅に到着した。バスターミナルがあり、レイクラインバスが入ってくるのが見えた。なるほど、ここにくればレイクラインに乗れるのだな。
改札口で例の絵馬の形をしたパーフェクトチケットを見せ、中に入った。9:20の電車に乗ろうと思い、5分くらい前に着いたのだが、既に電車は停車していた。中に入ると、座席も床もピンク色。窓ガラスには、真っすぐだったりカーブしていたりする白い線が何本も描いてある。中吊り広告には「ようこそ島根へ」という言葉と、島根県のゆるキャラらしきものの絵。そしてそれらは大体ピンク色。「ようこそご縁の国へ」とも書いてあり、なるほど縁結びという事でピンク色ねえ、と納得。乗客はまばらである。今日は暑いし、もうマスクはしないでいいかな。
一畑電車の線路は、宍道湖に沿って東西に延びている。宍道湖の北側をなぞっているのだ。進行方向(西)に向かって右側に座り、前の窓からは宍道湖がずっと見えていた。ところが、一畑口駅に停車した後、発車したら何と反対に進んでいる。さっきまで私が座っている状態で、右へ進んでいた電車が、左へ進みだしたのだ。宍道湖は私の後ろにある。びっくりだ。どうして?私はどこへ連れていかれるの?と焦った私は、地図を確認した。すると、一畑口駅のところで、線路が鋭角になっている。あれだ、スイッチバックだ。箱根登山鉄道で経験した事があるが、その場合はその列車の「名物」として、アナウンスがあったわけだが……この電車にとってはこれが日常で、珍しい物ではないわけで、いちいちスイッチバックしますよというアナウンスはしないようだ。ああびっくりした。
そして、乗っていれば出雲大社に着くのかと思っていたのんきな私。ふと車内放送が耳に入ったのだが、
「この電車は電鉄出雲市駅行きです。」
と言っていて、あれ?出雲大社行きじゃないんだっけと考えた。ちょっと不安になり、急に焦ってスマホで検索したら、乗り換えが必要だった。川跡駅で乗り換えなければならないのだ。その事に気づいたのが、川跡駅の2駅前だったのが自分でもびっくり。ちゃんと車内アナウンスを聞いていれば分かったかもしれないが、ちょっとスマホで新聞を読んでいたりして半分聞いていなかったので、危うく乗り過ごすところだった。そうそう、今朝はホテルの部屋のWi-Fiの元、新聞のデータをスマホに入れておいた。これで空き時間に新聞が読める。自宅に届くはずの東京版の新聞が、島根県に居ながら読めるというのが便利だ。
川跡で乗り換えて、出雲大社駅に着いた。乗車時間は1時間弱だった。けっこう長いが、新聞を読んでいたので退屈ではなかった。それにしても、計画がアバウトなのはそれこそ計画通りなのだが、必要な事は押さえていると思っていたので、乗り換えの事は自分でもびっくりだった。
改札を出ると駅舎がなんか白い。白い天井にステンドグラスの窓。十字架を思わせるような電灯。ん?キリスト教の教会っぽい?なぜだ。外へ出て、駅の外観の写真を撮った。屋根は黒っぽい瓦だが、窓の形からして、やっぱり教会っぽいな。出雲大社は神道の聖地なのに、不思議だ。
人はやっぱり少ないが、いざ出雲大社へ向かってゴーだ。長年憧れてきた、出雲大社。今、参道を歩いて向かっているのだ。テンションが上がる。左右のお店を見ると、これだけ空(す)いているから仕方がないが、閉まっているお店もある。お昼時になったら開くのだろうか。今は10時半前だから。
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