第12話 味方
「不登校になって以来、彼女とは1度も会ってない」
心底に後悔した顔で俯きながら、影人の隣を静かに歩き続ける千佳。負のオーラが千佳全体を支配する。
「…そうか」
想定外の千佳の悲しい過去に、影人は最後まで耳を傾けてしまった。
つまらない話だと予め予測し、区切りの良い箇所で切り上げる予定であった。
「ごめんね。私の過去の話を一府的に語って。正直、退屈だったよね? 」
千佳は力無く作り笑いを浮かべる。未だに過去えお引きずっているのだろう。
「…そんなことはない。ただ、お前の行動の理由は分かった」
本日初めて、影人は千佳と目を合わせる。
「お前は親友を不登校で失った。その親友のように俺が不登校になるのを防ぎたい。違うか? 」
「うん。正解。完全な自己満足だよね。ごめんね。今まで勝手なことして。胸元君に迷惑ばかり掛けて」
真剣な表所とトーンで、千佳は影人に謝罪する。
「…そうだな。確かに自己満足かもしれないな。だが、そのお前の自己満足に付き合ってやる」
「…え」
千佳の顔が瞬時に固まる。驚きも隠せない。
「聞こえなかったか? お前の自己満足に付き合ってやるんだよ。それと敢えて言っておくが、俺は大丈夫だ。絶対に不登校になることはない。それと自分の心を満たしたいのであれば、俺の味方でいろ。どんな時もだ。決して保身に走るなよ。それができるか? 戸上」
試すように、影人は千佳に問う。
「う、うん! 約束する!! どんな時も胸元君の味方でいるよ!! 多月君達にも決して屈しないから!! 」
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