第2話 反抗
次の日。いつも通り影人は学校に登校する。
朝のホームルーム5分前に教室に到着する。
「おい! 今日もホームルーム前にジュース帰って来い。4人分な。もちろん自腹な!! 」
智介もいつも通り登校したばかりの影人にパシリの命令を出す。
「また。そうやって…」
1人の学級委員が注意に動くために席から立ち上がる。
「は? 嫌だけど。何で命令されないといけないの? 自分で買いに行けば。両足ついてるでしょ」
だが、昨日までの影人ではなかった。今まで学校で発したことない冷たい声色で命令を拒否する。
シーーン。
影人の発言に教室中に静寂が走る。雑談していたクラスメイト達の会話が全て止まる。それほど影人の返答が衝撃だったのだろう。
周囲の変化など全く意に介さず、影人は自分席に移動する。学生カバンを机に優しく置き、イスに腰を下ろす。
「てめぇ!! なに俺の命令を拒否してんだよ!! 立場分かってんのか? 」
「そうだそうだ。俺達が絡んでやらないとボッチなくせに」
距離を取りながらも、智介と仲の良い陽キャ達は影人に睨みを利かす。
「そうだよ。俺はボッチで陰キャだよ。それが何にか? 別に悪いことじゃなくない?」
全く気にした様子を見せずに、影人は学生カバンからラノベを取り出す。ブックカバーは付いていない。裸の状態とラノベだ。
自分の世界に入り込むため、読書に神経を集中させる。
「「「「な!?」」」」
智介を中心に開いた口が塞がらない陽キャ達。
内心、陽キャや他のクラスメイト達の視線に恐怖を覚える。心臓の鼓動は激しく、収まる気配はない。
(だけど負けるわけにはいかない。決めたんだ。どんだけ嫌われてもいいと。居場所を失ってもいいと)
読書に意識を集め、外の世界の情報を遮断する。
昨日と明らかに様子が違い、反抗的な態度を取る影人。
未だにクラスメイト達は動揺を隠せない。雑談は中断した状態を保つ。
川が流れるようにクラスメイトの視線が影人に一点集中する。
影人にとって、ここまで注目を集めたのは人生で初めてだった。今まで体験したことない感覚が身体全身を侵食する。」
「そろそろホームルーム始めるぞ。お前ら席に就け。てか、今日は静かだな。どうしたんだ? 」
教室に激震が走る最中、担任の教師が教室に現れた。
異変に気づきつつも、特に触れずに朝のホームルームを始めるのだった。
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