最終回



健二は相変わらずお客さんに物件を勧めていた。




「もう少し検討してみます」




契約は取れなかった。










その夜、健二はヒロシのクラブに来てた。


ヒロシが




「調子どうよ?」




「まままあだよ」




健二は苦笑いを浮かべた




「ビール奢るよ」




と、ヒロシがくれた。




「ありがとう」






クラブを出ると美恵と初めて会った田園都市線の入り口の外にしゃがんだ。


あの日が昨日のように感じる。


美恵に咄嗟的に電話をした。


すると留守電に繋がった。健二はあきらめて電話を切る。


すぐに美恵から折り返しの電話があった。




「今どこ?」




「渋谷」




「今から会えないかな?」




「ラブレター100枚書いた?」




「いや、書けてないけど、初めて出会った所にいるから!」






それを言うと健二は電話を切った。








20分後くらいに美恵が現れた。




健二は人混みの中美恵を強く抱きしめる。




美恵が




「大丈夫?」




「それ出会った時に最初に言った言葉」




ふたりで笑った






そして熱いキスをした。

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