第5話ー③「魔法」
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AМ10:24
家に帰り、部屋に眼鏡を隠し、着替えの服を用意した後、すぐさま、一度髪をまとめ、私は服を脱ぎ、風呂場に入り、シャワーを浴びていた。
体操服を洗濯機に回し、少しでも、早く届けたい思いだった。
走った後はあんなに気持ちが良かったのに、何で、こんなにモヤモヤしているのだろう。
私が普通じゃないから、こういう付き合いも出来なくて、友達が出来ないんだろうなと心から思った。
前進したはずなのに、どんどん後退していくような気分だった。
「妃夜、おかえりなさい」
その優しい声は紛れもない私の姉こと、白夜姉さんだった。
「ただいま」
シャワーで音が反響して、ちゃんと声が聞き取れない。
「お疲れ様。走って来たんでしょ?」
「うん」
一度、シャワーを止めた。
「妃夜に、お友達が出来て、良かったわ」
言葉が出てこなかった。何故か、白夜姉さんと話していると言葉が出てこない。
「私もお風呂に入っていいかしら?」
「えっ・・・」
一度、思考が止まった。余りにも、姉さんらしくない言葉に、頭がこんがらがった。
「冗談よ、冗談。うふふふ。ごゆっくり」
白夜姉さんは、洗面所を後にした。
「本当に何だったんだ…」
私は独り言を漏らしていた。
頭や体を洗い終え、体を拭き、顔を拭き、髪を乾かした。 部屋着に着替え、部屋に戻った。 すぐさま、私はベッドにダイブした。
今日は疲れた。本当に疲れた。
走ったり、ご飯を食べたりして、何とも、体が重い。
未だに、脇腹が痛い、太腿も、足も上がらない。
思考も、嫌なことばかり、考えてしまう。惨めな自分を思い出す。
しかし、変われない私は、それをただただ、受け入れていくしかないのかと考えながら、ひと眠りつくことにした。
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