『妖怪屋敷』 8
はぎはらたまのじょうは、剣を長く延ばして、おきん姫の頭をなぎ払った。
『ちぇ!』
と、残念そうに叫んで、おきん姫は消え去った。
『やあ、退治したわけではないが、暫くは出ないだろう。ふん。』
はぎはらたまのじょうは、ノートに記録すると、また歩き始めた。
『しかし、こんなことの繰り返しでは、埒が明かないな。しかたないな、全体をスキャンするか。電力がもったいないがなあ。』
この大きな建物内全体をスキャンするには、かなりのエネルギーを使うのである。
たまのじょうが持っているエネルギーには、限りがある。
それが、人類の弱点だ。
妖怪たちは、大気から全てのエネルギーを補充できる。
全体をスキャンしたら、残り時間が少なくなる。
早く片付けないと、やられてしまいかねないから、危なくなったら撤退する必要がある。
その見極めは、エージェントの力量である。
逃げるときはさっさと逃げるのだ。
だから、常に、逃げ道を確保しておく必要も、また、ある。
アーニー・スリー
『たまのじょう。ダイジョブか? 助けに入ろうか?』
胸のポケットから、相棒のアーニー・スリーが囁きかけた。
アーニー・スリーは、超小型電子スパイである。
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