第55話 どっちへ行こうか
巨大ガエルを撃退した俺たち。
ちなみに勝因は――
「なんかあいつの体の中にガスが充満してたんで、ちょっとガスバーナーを……」
「いやめちゃくちゃするな!?」
そこは普通ためらうところなのだが、聖竜族は人間の数倍は頑丈にできているらしく、本人はまったくのノーダメージだった。外見上は普通の人間と変わらないのに、一体何が違うんだろうか。皮膚?
その後、モンスターの体液をタオルで拭きとり、改めてスタートを切った。
――しかし、ここで問題が。
「うーん……どっちへ進むべきだと思う?」
「どうっすかねぇ……」
目の前に現れた分かれ道。
どちらかが正解なのだろうけど、まったくヒントもなしにここまで来たからどっちへ進もうか悩んでしまうな。
「ゲームのダンジョンだったら引き返すってこともできるんだろうけど……この先が複雑に入り組んでいたりしたら戻って来られなくなるんじゃないか?」
「矢凪さん、そういう時のために俺の転移魔法があるんじゃないっすか」
「あっ、そうだった」
すっかり転移魔法のことを忘れていた。
竜崎くんは分かれ道のすぐそばを魔法で記憶。これで安心して奥へと進めるが……ちょっと待てよ。
「竜崎くんって普通に魔法使えるよね」
「さすがにすべては無理っすけど、大体の魔法は使えると思うっすよ」
「じゃあ、精霊たちが感じたっていう妙な魔力を探知できないかな」
「む? 確かに……やってみるっす」
魔法素人の俺には分からなくても、魔法を自在に使える竜崎くんなら精霊たちが話していた妙な魔力を感じられるかもしれない。
しばらく集中するように俯いていた竜崎くん。
相変わらず長い前髪に隠れて目元は確認できないが……あの様子だと目を瞑っているようだな。
念入りに周辺を調べたその結果――
「こっちっすね」
彼が指したのは右の道だった。
「魔力を感じたのか?」
「いや、そこまでハッキリとしたものではなかったんすけど……なんて言ったらいいのか、違和感みたいなのがあって」
「違和感?」
これもまた俺には理解できない感覚だ。
魔法を使えるようになれば分かるのかな。
ともかく、これで進路は決まった。
もし違っていたら転移魔法でここまで戻って来ればいいのだから問題ない。
ゲームに比べると危機感はないが、生身でやるならこれくらいの安全が保障されていないと怖いもんな。
……さて、右の道の先には果たして何が待っているというのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます