第50話 いざ、新しいお店へ
翌日。
俺たちはいつもの異世界の魔境から現代日本へと移動。
昨日チェックしたサイトの住所へ向かうと、そこは田園風景広がる「これぞ田舎」って場所にあった。
「へぇ、ここキャンプ用品店になってたんだ」
「もともと何かあったんすか?」
「俺が子どもの頃はコンビニだったな。そのあとでラーメン屋になって最近までパン屋だったはず。ここってどんな店が入っても割とすぐに潰れることが多かったんだよなぁ」
「ああ、そういう土地ってあっちの世界にもあるんすよね」
「マジで?」
異世界にも「絶対店が潰れる土地」ってあるのか。
まあ、あっちって事故物件とかも多そうだし、何より霊とか普通に存在してそうだから呪いの類もあるんだろうな。
「何してるの? 早く入りましょうよ」
「はいはい」
思ったよりもテンションの高いルナレナ様に背中を押されて入店する俺たち。
すると、カウンターで何やら作業をしていた店長らしき人物と目が合う。
「いらっしゃい」
めちゃくちゃ野太い声だった。
声もそうだが、店長の外見もムキムキなうえにスキンヘッドでとてつもなく怖い。一瞬たじろいでしまうほどの迫力だ。
一方、ルナレナ様と竜崎くんは特に気にしていない様子。
このふたりに関しては人間の姿をしていても中身はドラゴンと創造の女神だからな。強面の店長程度では動じないか。
俺も最初は店長の人相にビビッたが、品揃えの良さはなかなかだ。
店舗自体は大きくなくても用途ごとにアイテムが綺麗に陳列されており、必要な物がとても探しやすかった。おまけに店長が実際に使用した感想つき。こういうのは個人経営ならではだな。
「えぇっと……あとは保存食でも――って、あれ?」
目ぼしい物を籠に入れていったのだが、ここで竜崎くんとルナレナ様が見当たらないことに気づく。
とはいえ、お店の広さ的にすぐに発見できたのだが……
「可愛いぃ!」
「大人しいもんすねぇ」
ふたりは店内に放し飼いされているネコに夢中だった。
どうやら店長の飼いネコらしいが……確かに可愛いな。
スコティッシュフォールドっていうんだっけ?
俺も撫でてみようかなと近づくが――突然真横に気配を感じる。
「あの」
いつの間にか強面店長が距離を詰めてきていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます