第12話 魔法を使ってみたい!
「使えるの、魔法?」
「使えるっすよ、魔法」
「なんの取り柄もないアラフォーおっさんなのに!?」
「魔法に取り柄も年齢も関係ないっすよ」
そう語る竜崎くんはとても嘘をついているように見えない。とすると、本当にこちらの世界なら俺でも魔法が使えるのだろうか。
「お、教えてもらってもいいかな?」
「いっすよ」
いつもの軽いノリでOKしてくれた竜崎くん。
だが、すぐに習得できるというわけではないようだ。
「魔法は覚えられるっすけど、矢凪さんの場合は魔力に慣れる必要があるっすね」
「魔力に慣れる?」
あまり聞いたこと――いや、ぶっちゃけ初めて耳にするワードだ。
「あっちの世界で暮らしてきた矢凪さんは、これまで体内に眠っている魔力を開放した経験がないから、いきなりフルパワーで魔力を放出すると最悪死ぬっす」
「死っ!?」
いきなり話が物騒になったな。
……とはいえ、なんとなく理解はできる。
魔法っていうのは炎や水を操ったりすることもできるみたいだし、そんな超パワーの素となる魔力をこれまで一度も使ったことがない俺がやろうとするとどうなるか……まあ、ろくでもない結果にはなりそうだ。
「……いまひとつ原理は理解できないが、なんとなくヤバそうっていうのは伝わったよ」
「ならよかったっす。あっ、でも、さっき言ったみたいに鍛錬次第でちゃんと使えるようになるっすから」
たゆまぬ努力が大事ということか。
俺にはなかなか厳しい道のりになりそうだなぁ……何か始めても三日坊主ってことが多かったし。
ただ、これまでやってきたことと魔法はまったく別物だからな。
こちらは本当に心から関心があるというか、好奇心をくすぐられる。
「これからは竜崎くんを師匠と呼ばなくちゃいけないな」
「そんな大層なモンじゃないっすよ。いつも通りで平気っすから」
ケラケラと明るく笑いながら話す竜崎くん。
イケメンで性格良くて魔法まで使えるなんて……非の打ちどころがない人間――ではなく、聖竜族だな。
こうして、初日の探索は終了。
今後は探索範囲を広げつつ、この森でやれることをいろいろ模索していこうと思う。
さて、明日はどんな場所に行けるのか。
今から楽しみだな。
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