第13話 帰還
魔境探索初日はあっさりと終了。
感想としては……なんとかやっていけそうかなっていうふわっとした印象を抱いた程度だった。
正直、まだまだ探索不足なのでハッキリとしたことは言えないんだよな。
これからみっちりと調査して、女神ルナレナ様が力を失いつつある原因を突きとめないと。
ただ、それにしてはルナレナ様に危機感がないんだよなぁ。
例のログハウスへ戻ってからも、ずっとベッドでゴロゴロしてるし。
ちなみに竜崎くんは夕飯の支度にとりかかっている。
今日のメニューは持ち込んだレトルトカレーに山菜をぶち込んだ森カレーだ。
それを楽しみにしつつ、俺はパソコンを起動させる。
不思議なもので、電力のないこの世界でも普通にパソコンは使えるし、何ならネットにもつながる。これもまた創造神ルナレナ様の力があるからこそできるらしいが……力がなくなっていけばいずれこれも使えなくなってしまうということか。
一応、もといた世界へはいつでも戻れるのでまったく使えないってわけじゃないが、だいぶ不便になるな。
ともかく、俺は今日の出来事を記録して残す作業へと移る。
ようは日記みたいなものだ。
するとそこへ、暇を持て余した創造神様がやってきた。
「何やっているの?」
背後からガバッと抱き着かれて一瞬体が強張る。
創造神とはいえ、外見は普通の女子高生にしか見えないので一瞬不覚にもドキッとしてしまった。
……大人のおっさんとして、ここは冷静に対処しなければ。
「きょ、今日の出来事をまとめておこうかなと」
「ふーん……なんか声が上ずってない?」
「しょんなことないですよ」
盛大に噛んでしまった。
おかげで、こちらの心境をあっさりと見破られる。
まあ、創造神というくらいなので最初からお見通しだったのかもしれないが。
「えぇ~、もしかして緊張してるの~? ふっふっふ、愛いヤツめ」
嬉しそうに俺の頬を指先でグリグリしだす見た目女子高生の創造神様。
見かねた竜崎くんが「あんまりからかっちゃダメっすよ」と声をかける。
これから大変そうだなぁとまるで他人事みたいな感想を抱いていると、ルナレナ様の視線がパソコンに注がれているのに気づく。
「それにしても本当に不思議な箱よねぇ。よくもまあ大量の情報をこんな小さな物体に押し込めたものだわ」
創造神でさえ、人類史上最高の発明品だと思うパソコン(個人の感想です)の性能には驚かされるらしい。
「文字を書き込む以外にもいろいろとできるんだよね?」
「動画とかも視聴できますが……見てみます?」
「うん!」
食い気味に返事が飛んできた。
この辺の素直さは外見通りか。
結局、竜崎くんがご飯を作り終えるまで、動画視聴会は続いたのだった。
※次回より投稿時間が正午になります。
よろしくお願いいたします。
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