第6話 新たな職場(異世界)への初出勤

 さまざまな条件をクリアし、とうとう自然公園への転職日を迎えた。

 とりあえず、必要そうな物を旅行用にと買っていた大き目のバックに詰め込み、車のトランクへ放り投げた。


「さて……行くか」


 社会人になってから過ごしてきたアパートに別れを告げ、自然公園へ移動。

 駐車場に車を停めると同時に管理事務所から竜崎くんがやってきた。


「待ってたっすよ、矢凪さん!」

「今日からよろしく、竜崎くん」

 

 ここでの俺の業務は異世界にある魔境の管理。

 一応、どういう仕事内容なのかは事前にもらっておいた資料に目を通して把握しているつもりではいるのだが……正直、向こうへ行ってみないことには何とも言えないものばかりであった。


「じゃあ、早速行きましょう! ルナレナ様も待っているっす!」

「ああ」


 そうだった。

 俺をこの新しい職場へ誘った張本人――創造の女神ルナレナ。

 彼女と顔を合わせるのは今日が初めてなんだよな。

 夢の中で言葉を交わした時はなんか意識もハッキリしていなかったし。


 それにしても、これから世界を生み出した女神と会うっていうのにまったくそんな感じがしていない。たとえるなら転職先の上司と初顔合わせという感覚が近いだろうか。


 ……いや、まあ、それでも間違いじゃないのかな?


 ここへ誘ってくれたのは他ならぬ神様自身なのだから。いろいろと好条件も提示してくれたし、要望も一部叶えてもらえるようだし。


 そんなことを考えつつ、俺は前と同じワゴン車へと乗り込み、彼の運転でこの世界と異世界を結ぶトンネルへと向かった。

 何の変哲もない、どこにでもありそうなトンネルではあるが、ここを通過することによって俺たちは異世界へと転移する。

 あの時は分からなかったけど、トンネルを抜けた瞬間にアスファルトの舗装がなくなっているな。多少揺れはするが気にするほどでもない。


 周りの景色もどこかあの自然公園と異なる。

 雰囲気というか気配というか……抽象的な表現になってしまうが、なんとなく違うって感覚がまとわりついていた。


 その後、以前キャンプをした川の近くへやってくると、そこにはすでに誰かが待っていた。


「ルナレナ様は先に到着されているみたいっすね」

「あそこにいるのが……創造の女神ルナレナ……」


 始めて見る女神の姿に、俺は言葉を失った。

 


女神って……ジャージ着るんだ。

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