第15話 神槍 ゼウス

笹兎は即座に前へ屈む。

髪の先が裂けた。


「でた……神槍 ゼウス…..」


神槍 ゼウス。

神獣デザールが持っている神の名を持つ槍。

神獣という神に近しい、または神と同等の獣がゼウスなどという雷の神の中で最高の位に位置する神。それを扱っているということは、奴が、ゼウスと同等の力を持つ神……ではなく獣ということになる。


「手加減はしねぇぞ」

「あたりまえだ。殺す気でこいや」


再び激しい攻撃が再開される。

笹兎は奴の攻撃パターンがわかっているものの、完全には避けきれていない。

少しずつダメージを食らっている。


その理由の一つに、笹兎とデザールのステータスの差が関係している。


笹兎の素早さは現在15。そして攻撃力は23。

剣を振る速度というのは、攻撃力と素早さが関係している。

明確には、攻撃速度は素早さのみが関係しているのだが、装備品の剣などの武器には重さという概念があり、重くなればなるほど素早さが下がるという仕様になっている。しかし攻撃力の数値によって重さによる素早さ減少が緩和される。


笹兎は今現在、ガチャで出てきた『一撃ガラスの剣』というものを使っている。

これはあまり重くないものの、攻撃力が低いがために素早さが2減少している。

対するデザールはHP、攻撃力、素早さが二倍されている。


デザールのステータスは、


HP 1000


攻撃力368

素早さ180


という感じになっている。

つまり、攻撃パターンがわかっても避けられないほど、デザールの攻撃が早い。

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