第12話 作戦(賭け)

俺は全速力で沙月の元へと急いだ。俺の見立てが正しいのなら、きっと沙月は奴らに勝てないだろう。


そしてようやく沙月の姿が見えた時には沙月は瀕死だった。


というのも、自作ソシャゲのレベル上昇により仲間のHPが頭上に表示されるようになったのだ。


沙月の現在のHP  20/400


流石にやばい。

俺は即座に結束石を一つ使った。


沙月の現在のHP  400/400


「このっ……」

沙月は集中しすぎて回復していることに気がついていないようだ。

「おい沙月!」

「来ないで笹兎!!!!」

沙月が叫んだ。

「これは私の戦いなの!だから邪魔しないで!!」


これだからお前はよ…..これは俺の身を案じてのことだ。


「と言われたってなぁ…..このままだと沙月は負ける可能性あるしな…..」


結束石を使ってもいいのだが、流石にそういうことに結束石は使いたくない。

「……マスター。荒技ですが、方法が一つあります」

「……あゆも俺と同じこと考えてるみたいだな」

「マスターのことならなんでもわかります。生みの親なんですから」

「…….それはそれでちょっと怖いな」


俺は一直線に走り出した。


…….沙月とは真逆の方法へ。


「え?」

沙月の声が後ろから聞こえてきた。

まぁ、沙月にはこれの意図はわからないだろうな。


これは賭けだ。俺の作者力が試される。

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