第32話 努力家⭐︎ターザンロープ

同じく5才の頃の話。

ターザンロープがある公園は、先ほどの交通公園とかなり近いところにある。

交通公園からその公園へ、はしごすることも度々あった。

ターザンロープは滑車付きのロープ(綱のようなもの)にしがみつき、自分の体重を利用して傾斜をすべりおりる遊具で、両手で綱を掴んで、固く結んだところに足を乗っけて滑っていくのだが、くーちゃんは私がロープをつかんでいないと、自分では足を乗せることがうまくいかずに、地面に落ちてしまうのだ。

なので私が手伝えないときは、とりあえずロープを引っ張って地面を走って、戻ってくる作業を繰り返すことで練習していた。

それがシュミレーションとして成功したみたいで、何度も練習をしてついに1人で出来るようになった。

私は相変わらず、るーちゃんを追いかけながら横目で見ていたのだが、本当に感動した。

″出来るようになった瞬間″に立ち会えるというのは、親の特権だと思う。

ターザンロープにハマったくーちゃんは、何度も何度も1人で乗って喜んでいたので、私が手伝わなくても1人でできた方が絶対楽しいだろうと思っていたのだが、違ったようだった。

違う公園もスマホで探して電車で行ったのだが、そこは台もなく、くーちゃんの身長では届かないところにロープがあったので、仕方なく毎回私が抱っこして乗せていた。

とてもめんどくさかった(笑)

くーちゃんが乗って、滑っていく道にるーちゃんが突撃しにいくので、怪我をしないように寸前で止めて抱き上げる作業も腰が痛くなった…

「せっかく1人で出来るようになったのに、ままが手伝ってたら、くーちゃんもいやだよね。」

と言うと、くーちゃんは

『ううん、くーはままと遊びたいからひとりでできないこっちの方がいいの。』

とよろこんでいた。

5才といってもまだまだ甘えたいお年頃のようで、なんだか可愛らしく、愛おしいと感じる出来事だった。

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