第23話 初の授業参観+第一章完

とても楽しみにしていた授業参観に、るーを連れて主人と一緒に参加した。

なんと朝から3限あるうちの、どれにどのタイミングできてもいいという、自由な形式だった。

(少し前はコロナ禍だった為時間が決まっていた上に短時間だったらしい)

そういうゆるいスタイルがとても私には合っていたが…

くーちゃんは違った。

「全部みていてほしい!」

だった。約3時間だ。

しかも

「るーにも見てほしい」と言うハードルの上がるリクエストも込みだった。

3歳児の暴れん坊が静かにじっと出来るわけが、ない…

運動会はまだ、校庭を走ったりできたからるーも楽しんでいたと思うが…

主人と話し合って,とりあえず、るーの限界がくるまでは見ようということになった。

当日、るーにも水筒を入れた小さいリュックを背負わせて走って小学校に向かった。

3才になるとベビーカーには絶対のらない!と頑なに拒否をするのに、歩くのはしんどいから抱っこと言ってくるのだ…。

ちなみに自転車は小学校に駐輪禁止。

16キロをずっと背負う根性はないので、この3つを除くと選択肢は″走る″しかなかった。

くーのときもそうだったが、なぜか走るのは好きみたいで子供の歩幅だと徒歩15分かかるはずの道を半分で行けるのだ。

自分の足で向かってくれるのはありがたいが、35才の私にはなかなかしんどかった。なんせ今年の6月は30°をすでに迎えていたくらい、短気なのだ!

8月を先取りしていた!

(大人も冷たい水を用意すればよかった)

と後悔した。

教室の外に着くとくーちゃんが1番前の席でにこにこ授業を受けている姿が見えた。

先生の質問に毎回手を挙げていた。

こんなにたくさんの大人から見られても、物怖じしないくーちゃんが誇らしかった。

一方るーちゃんはずっと廊下を走っていて、

『おれも、くーが授業を受けているところを見たい』と言う主人と交代して追いかけた。

たまたま、私がくーちゃんをみていて、主人とるーちゃんが廊下を走っていて、この場にいないタイミングで挙手していたくーちゃんが先生に指名された!

(えっ今?主人にもみせたかったのに!しかも、ビデオも撮れないのに…)

運動会とは違い、撮影禁止だったのだ。

プロのカメラマンも来ていなかった。

私だけ見て主人に申し訳ない気持ちと、一緒にこの感動を共有したい思いがあったので残念だった。

くーちゃんはずっと授業中大きい声を出して先生の質問に答えていたのだが、いざ黒板の前に立って発表するときは小さい声で笑顔が引き攣っていて、なんだ普通の男の子じゃんと感じた。

可愛らしくてクスッと笑ってしまった。

そのあとはまたマイペースが炸裂していて、椅子をガタガタさせたり、人の発表のときにウルトラマンのように手の甲の上にもう片方の手の肘を乗せて何かを呟きながら揺れていた。

幼稚園が一緒だった子のママさんが

『くーちゃん、何かと戦ってるよね?』

とつっこんでいて笑ってしまった。

全然普通じゃなかった(笑)

やっぱり変わった男の子だった。

周りの子や、担任に迷惑をかけているのではないかと心配になったので、親としては楽しい出来事だとしても家に帰ったらきちんと、授業中は静かに!椅子をガタガタさせない!周りに迷惑かけない!ということを注意しないと、と思った。

でもいざ帰って

「落ち着きなかったよ」

と私が言った時に主人は遮ってこう聞いた。

『くー、授業が退屈なの?』と。

はっとして主人の顔を見た。

くーちゃんは

『そうなの!3歳にやる問題みたいな簡単なものばっかりやっててさ、つまんないんだよ』

と言った。

私は頭ごなしに注意しようとしてしまった。

でも主人はちゃんとくーちゃんの意見を聞いた上で、注意しようとした。

この二つは同じ内容のようであって、全然子供への響き方は違うと思った。

見習おうと思った。

くーちゃんの気持ちはくーちゃんにしかわからない。くーちゃんにしかみえない世界がある。

私も″育児″ならぬ″育自″で、″教育″ではなく″共育″をしていこうと思った。

また一つ主人を尊敬する出来事だった。



ここまでが、くーちゃんの最新のお話です。

第一章を終えて、次は、るーちゃんのお話にうつります。

ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました。

もしよかったらまた、るーちゃんのお話にも寄り添ってもらえると嬉しいです。

彼も心理士さんと会うことになります。

兄弟揃って、試練が待っていました。

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