第16話 教育センターへ
予約日までに用意することは、保健師さんへ連絡をして、くーちゃんが受けた″K式発達検査″の結果を教育センターに伝えてもらうことだった。
特に書面でもらえてなかったので、結果を伝える方法がそれしかなかったのだ。
私がもらっていれば持参できたのだが…。
個人情報を守るためにも私の同意がないと教育センターから保健師へ勝手に聞くことは出来ないとのことだった。
その段取りを終わらせてから教育センターに行った。家から徒歩では遠く、電車を使うか自転車か…だったが、8月のとても暑い日だったので、同居している義父に頼んで車で送ってもらった。
受付で名前を言って、椅子に座って待つ間、絵本があったおかげで助かった。
何もしないで静かにじっと待つことは私もくーちゃんも苦手だ。大人はスマホをいじっていればいいが、子供はそうはいかない。過集中して長時間画面を近くて見続けて目が悪くなってもいけないし、マリオのゲームをさせるときも15分タイマーをかけて、ゲームを終えたら2時間は画面を見せないことを徹底し、一日最大1時間以内を守らせていた。
絵本はとてもいい。読解力も理解力もつくから3才までにたくさん読ませるべきだと有名大学に行った人がテレビで言っていた。
『くー、この本読んでほしい!』
と選んでくれたりんごが描かれた絵本を読むと、くーちゃんは楽しそうに爆笑していた。
気に入って何度も読んでと言ってくれたので、時間を潰せるものがあって良かった…と安心した。
割とすぐに呼ばれて部屋に案内され、くーちゃんは、名前など色々聞かれたことを紙に書いて見せた。書いた後はくーちゃんだけ違う椅子に座り、先程の絵本をよんだり、おえかきをして待っていた。
女性の心理士、教育センター勤務の男性社員さんがそれぞれ1人ずつ腰掛け、私と同じテーブルでお話をした。
『くーちゃん落ち着きはないですね』と言われ、笑ってしまった。
ガタガタと椅子の音を立てながら自分の名前を書いていたので、私が「じっと座ってかきなさい」と叱っていたのだ。
『でも、鉛筆をしっかり持って自分の名前を書けるのは、すごいことですよ。』
と褒めてくれた。
学習塾のおかげだと思った。本当に通ってよかった。
『くーちゃんが行こうと思っている小学校にはサポートルームの先生がいません。ただ近くの小学校にいるので、週に1回来てもらえます。もしもサポートルームが必要と判断された場合は、くーちゃんは教室から出て、サポートルームの先生と違う教室でトレーニングをします。どのようなトレーニングをするかは、くーちゃんが何が得意で何が苦手かを調べてからの判断になります。例えば言葉だけで説明されてもわかりにくいけど、図や表、手を使ってならわかるとか、聴力に丈ているとか…そういったことをテストをして調べて、その結果から判断します。
また、入学と同時にすると、なんでくーちゃんだけ違う教室にいくの?と気になる子たちが出てくるかもしれないので、入学してしばらく経ってから始まることになります。ただ、WISKテストは6才になってから受けたほうがいいと思うので、サポートルームの準備をして、6才を迎える頃にテストをしましょう。幼稚園には就学シートを小学校に出してもらうよう伝えてください。就学シートとは、くーちゃんがどのような子かを書いてもらって小学校ではどう接していくべきかなど書いてもらうものです。』
とのことだった。
約半年後の話だった。
半年後の予約をとって、その日は帰った。
幼稚園へは今日言われたことを全て伝えた上で就学シートをお願いした。
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