第8話 私が変われば 

「くーちゃんって、自分の気持ちとか言葉にするのって苦手?」

『なんで?』

下を向いたままくーちゃんはそう聞いた。

「まま、苦手なんだよね、言葉にするの」

『実は、くーも、苦手なんだ』

びっくりした。

苦手だったんだ!しかもそれを5才で自覚できてるんだ!

「じゃあ、ままも頑張るから一緒にがんばろう!」

そう言うと明るい笑顔でうんっと元気に頷いてくれた。

そこからは早かった。

私は今まで「そこにあるティッシュとって」などと指を刺すだけで具体的な言葉で表さなかったことを「黒い三段ボックスの1番上に置いてあるティッシュとってくれないかな」

と変えて言うようにした。

一つ一つをきちんと言葉にした。

カッとなって適当に言ってしまった時もすぐに具体的に言い直して伝える努力をした。

くーちゃんはどんどん状況説明が上手になった。

自分の思いも、明確に伝えてくれるようになっていった。

先輩の言う通りだった。私が変わればくーちゃんは大丈夫だった!

全部、私の問題だった。

そして、幼稚園の対応も変わっていった。




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