第3話 心理士さん

心理士さんは大変人気で…なかなか予約が取れなかった。区が支援してくれているので無料で会うことができるのは本当にありがたかった。

会ってすぐに、心理士さんはくーちゃんと少しお話をして、テストをした。

どのような内容かは他言無用なので詳しくは書けないのだが、くーちゃんの能力を測るための試験だった。

終えて、くーちゃんには同じ空間だが少し私たちから離れておもちゃでひとり遊びをしてもらい、私と心理士さん2人でお話しをした。

『知能は高いです。できることが多いので…。お母さんがお困りのことは何ですか?』

と親身に聞いてくださった。

「何度行っても道路に飛び出します。パン屋に行ったら必ず商品に触りにいくので、次男をベビーカーにのせて3人でおでかけのときは、パンを買うハメになります。」

と相談をした。

『お母さんは大変ですが、毎回言ってあげてください。道路に飛び出さずに白い線の内側を歩いてね、と言ったりパン屋の前で走り出す前に今からパン屋の前を通るけど、商品を触ったら買わないといけないから、触らないでねと言ってあげてください。言えば理解できる子です。』

というアドバイスをくれた。

わかっている…その通りだし、理想だ…。

でも、どうしても間に合わない時がある。次男が生まれてからは常に3人行動で、私自身が疲れていて注意力が散漫しているときは追いつかない。そして何度言ったらわかるの?と怒鳴りつけてしまう…。

「あの、こういう衝動的な行動をすることは、何か発達障害がありそうな気はしますか?」

と直球で聞いてみたが

『私は医者ではないので診断名が欲しい場合は、医者と面談してください。』

と言われた。

たしかにそうだ…。と納得した。

心理士さんには、この先どう子供と向き合っていくか、困ったときはどう対応すればいいかのアドバイスをもらったし、無知な私にとっては本当に助かることだった。

『まだ話したいことがあれば次回の予約とりますか?』

と聞いてくれたのでお願いをしたが、その心理士さんも予定が埋まっていて次回は別の方になった。

この日は、くーちゃんはやっぱ知能高いんだな、すごいな。というプラスの感情で帰ることになった。

でも2回目の心理士さんとのお話で、私は号泣しながら帰ることになる。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る