第6話
「はぁ……」
脅されたとはいえ、絆月と連絡先を交換してしまったことを後悔して、家に帰ってきた俺は制服から服を着替えてから、ベッドに寝転んでいた。
……友達に相談でもしてみようかな。
違う学校に行ったやつだし、割と気楽に聞けるもんな。
【今、いいか?】
そう思った俺は、早速そいつにメッセージを送った。
【何か用か?】
すると、直ぐにそんなメッセージが帰ってきた。
【幼馴染とあんまり関わりたくないんだけど、そういう時ってどうしたらいいと思う?】
だから、俺は単刀直入にそう聞いた。
変にぼかしながら伝えたって、いいアドバイスが貰えるとは思えないからな。
……まぁ、単刀直入に聞いたって、いいアドバイスが聞けるかは分からないけどさ。
【嫌いなのか?】
【そういう訳じゃないんだけど、俺といるとそいつのためにもならないんだよ。だから、突き放したいんだ】
【そうなのか。んー、知らん。頑張れ】
……こいつに聞いたのが間違いだったな。
はぁ。もういいや。人に頼ろうとした俺が悪いんだ。
自分でなんとかしよ。
……いや、自分でなんとか出来ないと思ったから、人に聞いたんだけど、もう仕方ない。俺の知り合い……というか、友達は使えなさすぎるからな。
こいつ以外も、どうせ同じ感じだろうし。
【久しぶりに、家、行ってもいい?】
俺が本当に無駄な時間を過ごしてしまったな、と絆月と連絡先を交換してしまったこと程では無いけど、それと一緒に後悔していると、俺が後悔している原因の絆月からそんなメッセージが着た。
俺はそんなメッセージを読んだ瞬間、そっとスマホの電源を切った。
まだ既読はつけてないから、見てなかった、ということにしようと思ってだ。
……だって、既読をつけて普通に「嫌だけど」なんてメッセージを返したって、さっきと同じように脅されてしまうだけだから、気がついていない振りをして無視するのが一番いいと思ったんだよ。
そうしていると、インターホンの音が鳴った。
……いつもなら待たせるのも悪いから、急いでインターホンに出るんだけど、今このタイミングでインターホンが鳴るのは怪しすぎるから、俺は自分の部屋の窓からこっそりと扉の前を覗くことにした。
インターホンを押した相手が絆月じゃなかったら待たせることになって申し訳ないけど、流石にタイミングが良すぎるから、許してくれ。
「ッ」
そんなことを思いながら、カーテンの隙間からバレないようにゆっくりと外を除くと、インターホンの前にいた絆月と思いっきり目が合った。
それに気がついた瞬間、俺は直ぐにカーテンを閉めて、何も見なかったことにしようとした。
【ねぇ、今、目が合ったよね?】
通知音とともに、俺のスマホに絆月からのそんなメッセージが飛んで着た。
……怖いって。
理由は本当に分からないけど、突き放したはずなのに絆月がヤンデレみたいになってるのはもう分かってる。
そのうえで……怖いって。普通に、怖いって。
絆月のことを怯えながらも、少なくとも、今はまださっきみたいに脅されていないから、玄関に行くこともなく部屋で怯えていると、ガチャ、と玄関の扉の鍵が開く音が俺の部屋にまで聞こえてきた。
「は?」
今の、隣の家、だよな?
かなりクリアというか、まるで自分の家の扉の鍵が開いたかのようにハッキリと音が聞こえたけど、そんなわけない、もんな。
母さんはまだ帰ってくる時間じゃないし、気の所為、または隣の家に決まってる。
「慎也、入るよ」
そんな現実逃避をしていると、もう勝手に家に入ってきているというのに、わざわざ俺の部屋の扉をノックする音が聞こえてきたかと思うと、絆月のそんな声が聞こえてきた。
そして、扉が開いた。
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