整形して超ブスから超美人へ!

天川裕司

整形して超ブスから超美人へ!

タイトル:(仮)整形して超ブスから超美人へ!しかし浮気心を出したとたん世紀末的な悲惨な末路へ…!


1行要約:

整形美人の浮気の果てに…


▼登場人物

●軽見輝和子(かるみきわこ):女性。30歳。超ブス。整形して心に決めた人に告白したい。また整形した事で超美人になり初めてモテる。

●清川誠人(きよかわまこと):男性。27歳。ややイケメン。性格は真面目。輝和子が憧れている(輝和子は初め誠人に告白しようと思っていた)。

●不伶大樹(ふれいだいき):男性。31歳。パラダイス社で働いている。ダンディ。モテる。イケメン。輝和子の浮気相手。プレイボーイ。

●九琉輪真理子(くるわまりこ):女性。30歳。輝和子の「美人になりたい」と言う心底の理想と欲望から生まれた生霊。

●社員:男女の含む不特定多数のイメージで。ユメノ企業の社員。本編では「社員A~B」と記載。

●泊(とまり):男性。50歳。パラダイス社の専務。イメージ的な感じでOKです。セリフ無し。


▼場所設定

●輝和子の自宅:一般的なマンション。

●ユメノ企業:一般的なITデザイン企業のイメージで。輝和子と誠人が働いている。

●バー「クエスチョン」:お洒落なバーのイメージで。真理子の行き付け。

●『エステ・マドモアゼル』:美容クリニック。整形手術専門。中の様子は映さなくてもOKです。

●パラダイス社:輝和子の転職先。大手IT企業のイメージで。

●ホテル:一般的なラブホテルのイメージで。


NAは軽見輝和子でよろしくお願いいたします。

(オープニングとエンディングにつきましては「ハナシノネタ」にご変更になった事もあり省略しております)



メインシナリオ~

(メインシナリオのみ=4348字)


ト書き〈ユメノ企業〉


NA)

私は軽見輝和子(かるみきわこ)(30歳)。独身。

私には悩みがある。

それは「今世紀最大のブス」と言う事だ。


ト書き〈朝の出勤時、同僚からひそひそ話〉


社員A)「いつ見てもひでぇな(笑)」


社員B)「ちょっと聞こえるわよ…!」


毎日、陰でひそひそ話。

超ブス…この言葉は私の代名詞になっていた。


ト書き〈1人トイレで〉


輝和子)「…分かってるわよ…!でも…アタシだって1度くらいモテたい!理想の人に告白したい!女の人生を思いきりエンジョイしたいわよ!」


輝和子)「でも…こんなアタシじゃ…やっぱり…」


ト書き〈誠人を想う輝和子〉


私には憧れている男性がいた。

同僚の清川誠人(きよかわまこと)君(27歳)。

歳は下だが同期で入社。

私は彼と出会ってからずっと憧れていた。


輝和子)「…誠人くん…」


ト書き〈会社帰り〉


NA)

会社帰り。

私はいつものように落ち込んでいた。


輝和子)「誠人君、今日も周りの女子社員といい感じでご飯食べに行ってたなぁ…。あの中に私も混じりたい…。でもこんなアタシが行ったんじゃ、きっと誠人君のほうでビックリしちゃって、相手になんかしてくれないよね…」


NA)

「諦めなきゃ…」という気持ちは日に日に募る。

でもそれと同じくらい「気持ちを伝えたい」という想いも強まる。


輝和子)「ああ…アタシ…どうしたらいいのォ…」


ト書き〈バー「クエスチョン」を見付ける〉


輝和子)「ああダメ!こんな気持ちじゃどうせ帰ったってツライだけ!よし!今日はどっかでガブ飲みしてやろ!」


私は気分転換に飲みに行こうとした。

その時…


輝和子)「あれ?こんな所にバーなんてあったっけ?」


見慣れないバーを見付けた。


輝和子)「バー『クエスチョン』…。ふぅん、なんだかお洒落な感じ。よし、今日はここにしよ」


ト書き〈バー「クエスチョン」〉


NA)

早速、私はカウンターに1人座り飲み始めた。


輝和子)「ったく!この顔がいけないのよ!なんでお母さん、アタシをこんな顔に産んだんだろ!もうイヤんなっちゃう!はぁ…顔換えたい…。名前は『輝く子』って書くのになぁ…」


NA)


真理子)「こんばんは。何だか荒れてますね」


輝和子)「え?」


奇麗な女性。

私は一瞬身構えた。

でもその人には何だか不思議なオーラが漂っている。

初対面なのに、何だか親友を想わす暖かさがある。


真理子)「今チラッと聞えたんですが、もしかしてお顔の事でお悩みですか?」


NA)

唐突。

普通なら怒る。

でも彼女に言われると、不思議と心が波立たない。


輝和子)「…あの、あなたは…?」


真理子)「申し遅れました。私こう言う者です」


女性は名刺を差し出した。


輝和子)「『超絶美容のパーフェクトコーチ』…九琉輪真理子…?」


真理子)「私は女性の美貌を理想に整える為のお仕事をしております。もしよろしければお試しになりませんか?完璧な理想に近付けて見せますよ?」


輝和子)「超絶美容…完璧な理想…」


NA)

私は生まれてこのかた、ずっと顔の事で悩んでいる。

だから見え透いた売り文句でも心が揺らいでしまう。

気付くと私は、自分の悩みを全て告白していた。


輝和子)「私も他の子みたいに、普通の女の子らしい人生を送りたいんです。好きな人に自信をもって告白したい。結婚もしたいです!…でもこんな外見じゃ夢の又夢…。諦めるしか無い…なんて悩んでまして…」


輝和子)「わ…私、いま好きな男性がいるんです!その人の為なら整形でも何でもしてやるって、そう決めてた時期もありました!私、本当にその人一途で、その人に告白する勇気を持つ為に、今の自分を変えたいんです!」


私は思わず誠人の事を持ち出した。


真理子)「なるほど。諦める事はありませんよ。男性はよく『男は中身だ』なんて言われますけど、それは女性の場合でも同じです。中身を磨いて行けば必ず表も変わります。そうなれば男性のほうからあなたを慕うでしょう」


輝和子)「で…でも私、こんな外見ですよ?!こんなので幾ら中身奇麗にしたって…男は誰も寄り付かないでしょう!」


一瞬「ヤブか?」と思い声を張り上げた。

でも真理子は冷静に答える。


真理子)「…わかりました輝和子さん。それではあなたに、こちらの美容外科クリニックをご紹介しましょう」


そう言って真理子は1枚のパンフレットをくれた。


輝和子)「『エステ・マドモアゼル』?整形外科クリニックですか?」


真理子)「ええ。その名の通り、お嬢様…いわゆる乙女の心をそのまま外見に引き出してくれるロマンティックなエステサロンです」


真理子)「でも唯のクリニックじゃありませんよ。そこでなされる施術は利用者さんの理想を寸分狂わず、ピッタリの顔に仕立て上げてくれるでしょう」


輝和子)「ピ…ピッタリってそんな…」


真理子)「嘘じゃありません。信じるかどうかはあなた次第。でもそこへ行けば必ずあなたは暗い自分と手を切れます。これ迄の人生と完全にオサラバし、新しい美を手に入れ、理想の男性に告白する事も夢ではありません」


輝和子)「ま…まさか…。でもこう言うのってかなりお金掛かるんですよね?」


真理子)「私の紹介ですので1万円で結構です。但し、輝和子さん。これだけは約束して下さい。そこで理想の美を手に入れた後、絶対に浮気はしないと」


真理子)「あなたはさっき『特定の男性に告白したいから、理想の顔を手に入れたい』と言いました。その通りにして下さい。もし浮気心を出して別の男性を愛したりすれば、きっとあなたにとんでもない不幸が訪れるでしょう」


輝和子)「う…浮気なんてそんな…。私に限って、絶対にありません!」


NA)

私は決意した。

翌日、私は『エステ・マドモアゼル』へ行く事にした。


ト書き〈『エステ・マドモアゼル』前〉


NA)

手術はあっと言う間に終わった。


輝和子)「し…信じられない…こんな事って…」


ト書き〈コンパクトを覗きながら〉


輝和子)「これ…ホントにあたしなの…?」


私は別人になった。

超絶美人。

まさに真理子が言ってた通り。

完璧な理想の顔を手に入れた。


ト書き〈生活が一変する〉


NA)

私はそれまで勤めていた会社を辞めた。

流石に変わり過ぎて、一発でバレると思い恥ずかしかったから。

誠人には改めてアプローチしようと考えていた。

転職先は「パラダイス社」。

一流のIT企業だ。

やはり美人は得なのか、受付嬢として一発採用。

それから毎日がバラ色だった。


ト書き〈パラダイス社〉


輝和子)「フフ…やっぱりアタシのほうをみんな振り返るわね…」


こんな風にモテるのなんて初めての事。

私の心は浮足立った。

そんな時、急に誠人が私の前に現れた。


輝和子)「え…誠人…?!」


商談で来たらしい。


誠人)「済みません、ユメノから参りました清川誠人です。専務の泊様はいらっしゃるでしょうか?アポイントは取ってあります」


輝和子)「え…あ、はい!」


私は慌てて取り次ぎ、誠人を見送った。


輝和子)「やっぱり気付いてない…」


顔も印象もすっかり変わった私。

気付かないのが当り前。

でも、誠人に気付かれないのは寂しかった。


ト書き〈誠人にアプローチ〉


NA)

誠人が商談を終えた時、ちょうど私の休憩時間と重なった。

私はこれ幸いと猛ダッシュ。

誠人の後を追った。


輝和子)「あ…あの!」


誠人)「あ、はい?」


私は一瞬ためらったが勇気を出し、自分が軽見輝和子である事を告白した。


誠人)「え…えぇ?!か…軽見さん…?」


輝和子)「はい…」


猛烈に恥ずかしかった。

でも私が整形したのは、全て誠人に告白する為。

この熱い気持ちをどうでも伝えたかった。


誠人)「お…驚いた…。気付かなかったよ…」


誠人は驚いていた。

でも…


輝和子)「あの…私、ずっと前から誠人君の事、大好きだったの…!」


NA)

言ってしまった。

でも誠人は以前の私を知っている。

フラれる事は前提だった。

しかし…


誠人)「…嬉しいよ。もっと早く言ってくれたら良かったのに」


輝和子)「え…」


なんと誠人はOK!

自分も前から私の事を気にしていた、とまで言ってくれた。

思えば前の会社では、誠人だけが私に優しかった。

だから好きになったのだ。

信じられなかった。

その日から、私と誠人は付き合い始めた。


ト書き〈数か月後〉


NA)

それから数か月後。

誠人と私は婚約していた。

デートを繰り返し、私も女としての悦びを堪能していた。

でもこのとき私の中に、女としての慢心も生まれていた。

「私はモテるんだ」と言う気持ちが私を変えた。


ト書き〈数日後〉


それから数日後の事。


不伶)「どう?今夜、飲みに行かないか?」


輝和子)「え~どうしよっかなぁ♪」


私は先輩社員の布令(ふれ)君(31歳)に飲みに誘われた。

それも2人きり。

布令君はダンディで、社内でもかなりのモテモテ男。

私は急にモテるようになった反動から、こんな男にも好かれてみたかった。

この夜、私はつい一線を越えてしまった。


ト書き〈ホテル〉


布令)「ふぅ。よかったぜ♪」


モテると言う気持ちが逆に私を堕落させていた。

「誠人に内緒なら…」とずっと心で呟いていた。

誠人に一途だった私だが、生活の土台が変わっていたのだ。

もう後には戻れなかった。


ト書き〈自宅マンション〉


輝和子)「…何だか顔が痛いなぁ…」


私はホテルを出てから、何となく顔に痛みを感じていた。

自宅に帰っても痛みは引かない。

寧ろ益々痛くなる。


輝和子)「ったく何なのよこれ」


ト書き〈鏡を見る〉


私は軽くシャワーを浴びた後、鏡の前に立った。

その時、信じられない恐怖…いや悍ましい超絶の恐怖が私を襲う。


輝和子)「ぎょえええぇぇ!!」


なんと私の顔には、2つの顔がある。

1つは整形して手に入れた美人顔。

もう1つは整形前のあの超絶ブスの顔。

眉4つ、目が4つ、鼻2つ、口が2個…。

2つの顔が私の顔に、埋め込まれるようにして並んでいる。


輝和子)「何よこれぇええ!いやあぁぁぁ!」


ト書き〈マンションを見上げる真理子〉


真理子)「やっぱり無理だったようね。せっかく理想の美を手に入れたのに。これから輝和子は2人の自分を見る事になる。1つは超絶モテる八方美人。もう1つは心に居座るブスの顔。だから言ったでしょう。『エステ・マドモアゼル』は、乙女心の正直をそのまま引き出すと」


真理子)「私は輝和子の理想と欲望から生まれた生霊。彼女の夢を叶える為に現れた。『エステ・マドモアゼル』なんて架空のクリニックまで用意して。でもそれは全て1人の男性との運命を勝ち取らせる為。あのまま誠人だけを愛していれば、こんな悲劇は起こらなかった」


真理子)「彼女はもう外に出る事すら出来なくなった。あの独房で、自分が何故そうなったのかを反省するといい。そのうち顔が元に戻ればいいけど。堕落の心が変わらなければ、永遠に輝和子は2つの自分を見続けるでしょう…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=zbSM_wIG9iE

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整形して超ブスから超美人へ! 天川裕司 @tenkawayuji

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