34発目 納豆に…………?
決意の朝。
「そろそろ行くぞ」
二八が俺達を呼びに来た。俺は返事をすると立ち上がり、部屋を出ることにした。神薙さんは既に準備を済ませており、いつでも出られる状態だ。俺と二子も荷物を持ち、玄関へと向かう。そして靴を履くと俺達は外に出た。外は快晴で絶好の旅行日和と言えるだろう。しかし……これから行く場所はそんな気分になれるような場所じゃないはずだ。それでも行かなければならないのだ。
俺達は車に乗り込み出発した。目的地は…………少し遠い県の海岸脇倉庫だ。そこに二子の祖父がいるらしい。
「なあ……どうしてまたヘリなんだ」
「簡単な理由ですよ…………向こうに万が一の脱出ルートを空と思わせる為です」
「…………なるほど?」
よく分からないけど、神薙さんが言うからその通りなんだろう。俺達は二八と雑談しながら目的地まで向かうことになった。道中は順調で予定通りの時間に到着することが出来た。俺は車から降りると深呼吸をする。これから起こることを考えると緊張するな……。
ヘリから景色を眺める二子は無言だったが、俺の手を握っている。不安なんだろう。俺は正面に座っている二八に声をかける。
「そう言えばお前は何をするんだ?」
「え? そりゃあ…………何するんだ小向!」
知らないでここまで来たの肝が据わりすぎてるか馬鹿どっちかだな。神薙さんが説明するには基本的に倉庫に直接入るのは俺と二子の二人。後はこの二人が脱出の準備をしてくれるらしい。もっとも、向こうが問答無用で捕まえてこようとしてきた場合の最終手段で使わないならそれに越したことはない。
「それから…………もし脱出しなければいけないと判断した場合は…………これを…………」
そう言って神薙さんが渡してきたのは………
「うわっと!? なんだこれ?」
大きめのケースに入ったそれは…………銃だった。
「残念ですが貴方に剣技及び武術は無理でした」
「そうね、日本刀はかっこよかったのに残念だわ」
急に二子も会話に参戦する。…………二子にカッコイイって思われてたなら、いざこざが終わった後も習おうかな。…………それはさておき…………
「これは?」
「結論から言いましょう素人を手っ取り早く強くする方法」
「そして多くの命を奪った兵器よ」
俺はケースを開けると中身を確認する。そこには俺が思い描いていた通りの物が入っていた。そう、銃だ。
「……本物?」
俺は恐る恐るみんなに聞くと三人とも頷いた。……マジで?
「使い方はわかりますか?」
「一応……ごめん調子乗ったわからねえ」
その場の空気が凍り付く…………いや、普通の高校生カラシニコフなんて使いませんからね? 一応指南して貰ってから倉庫に向かう。どうやらアサルトライフルの一種らしい。二子もなにやら大きめのケースを持っている。あれもおそらく…………銃だろう。
「お前のもアサルトライフルか?」
「そんな…………いえ、そんな銃って言えるほどダメな銃じゃないわね…………私のは違うわ」
確かにケースが俺のより大きい、いや長いのか。
「これはSR-25…………本来なら狙撃銃ね」
「いや俺もお前も敵の目の前なんですけど!?」
まだ俺の方がいいじゃねーか。…………何を見越してそれを? しかし運命の時は迫る。俺と二子は海岸沿いの倉庫の入り口を開けてゆっくりと歩くと、そこには軍服を着た外国人が整列していた。…………いや、小僧が銃持っただけでなんとかなる空間じゃねーだろこれ。
そして奥に案内されると不自然におかれたソファに深々と座る老人が見える。あれが…………二子の祖父でありマフィアのボスなのか。
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