第8話 残り1人

 夕暮れが迫る八鬼島の海岸線で、飯島と三島は深刻な表情で立ち尽くしていた。波の音が遠くから聞こえ、風が海を渡ってゆっくりと吹き抜けていた。島全体が静かで、一面に広がる青い海が静かに波打っていた。


 飯島がビーチを歩いていると、突然、岩場の隙間に桑田の遺体が見つかった。彼の顔は穏やかで、まるで眠っているかのように見えた。しかしその周りは悲惨な光景で、服には血が染み込んでおり、彼が暴力的な攻撃を受けたことを示していた。


「三島、こっちに来てくれ。これは…桑田だ」と飯島が静かに言った。


 三島は驚きと悲しみを隠せない表情で近づき、桑田の遺体を見つめた。「彼も…こんな目に合わされたのか」と呟いた。


 飯島は深く息をつきながら、周囲を注意深く見渡し始めた。桑田の死が何者かの手によるものであることは明らかで、次なる手がかりを求めて捜査を進める決意を新たにした。


 桑田の死体の発見は、捜査の方向性を大きく変えるものとなり、飯島と三島は犯人の動機や行動パターンを理解し、事件の全容を解明するために全力を尽くす覚悟でいた。


 八鬼島の警察署内で、灯りが薄暗く揺らめいていた。長机の周りに座った捜査員たちが、資料や地図を眺めながら静かに議論を交わしている中、部屋のドアがゆっくりと開く音が響いた。


「すまないが、遅れたな。工藤俊作だ」

 足音が静かに響き、若い刑事が慎重に入ってくる。


 向井刑事が顔を上げ、軽く頷いた。「俊作、お前も来たか。良かった、援軍が必要だ」


 そのとき、もう一人の影が現れた。長身で鋭い目を持つ剣持勇が部屋に入ってきて、冷静に部屋の中を見渡す。


「剣持、君も来てくれたか。事態は深刻だ」と向井が言った。


 そこに真壁誠が静かに加わり、微笑みを浮かべながら彼らを見つめる。「みんな、揃ったな。八鬼島のことを知る者として、少しでも力になれるといいが」


 その時、部屋の一角で意外な人物が姿を現した。スタイリッシュな服装に身を包み、クールな微笑を浮かべた女性、峰不二子が、煙草を吸いながら静かに入室してきた。


「お待たせ。峰不二子だ。私もこの事件に興味があるわ」


一同は静かながらも固い決意を感じさせる視線を交わし合う中、再び捜査の方向性を話し合う準備を整えた。


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