第2話家族からの重大発表
そういうわけで…まあ、何がそういうわけなのかは分からないが、とにかく俺の高校生活が始まったというわけだ。今日は入学式という事もあり新入生は午前中だけ。
俺はというと学校が終わると家への帰路へと着く事に…。クラスの男子の何名かは…いや、半分位はクラスの女子によって連れ込み教室へと拉致られていた…。悲しい話なのだが…俺にはそういうお誘いも拉致られる事も、ましてや声を掛けられる事もなかったのである。
悲しいけれどこれ、現実なのよね…。
そんな言葉が脳裏に
♢
「ただいま〜」
「おかえりっ!お兄ちゃん♡」
家の玄関のドアを開けるとそう言って飛び込んで来たのは俺の妹の
「おっと!」
俺は飛び込んで来たマイプリティシスターをしっかりと受け止める。前世では妹が居なかった事もあり、溺愛している。妹って滅茶苦茶可愛いんだぜ?シスコンと言う言葉が何故あるのかを俺は悟ってしまったもんさ…。
それに…真冬だけは俺にこうやって親愛を態度で示してくれるしな。
「すんすん…でへへっ♪お兄ちゃんの匂い…♡ すんすん…はぁ〜〜 いい匂い♡」
まあ、ちょっと行き過ぎた親愛を向けられている気がしないでもないのだが、真冬曰く。これ位は妹として当然の事らしい。
「んっ?そういえば何で真冬が家に居るんだ?学校はどうした?」
「ふへっ……お兄ちゃんの匂い……♡」
「お〜い、真冬や〜い?」
ある意味トリップしている状態の真冬にもう一度声を掛けてみる…。
「…はっ!?どうしたのっ、お兄ちゃん!?もしかして私と関係を深めたくなったとかっ!?」
関係もなにも…俺達兄妹だからな?まあ、この世界はそういう関係になっていても全然おかしくはない…。女性に兄か弟が居るのなら、一番最初に食べられていてもおかしくないのがこの世界だ。一夫多妻制でもあり、一妻多夫制でもあるのだから…。
要は好きなだけハーレムを築いてもいいし、不倫も好きなだけしたらいい、なんなら誰とでも関係を持ちたいなら自由に持とうぜと言った感じだ。最早結婚の意味があるのか?と、思ってしまうのだが…こんなおかしい世界だからなとすでに俺は受け入れている。
まあ、この世の男性達は自分からそれを求める事はほぼないし、俺には今のところ全然関係のない話になるんだけどな…。
ちょっと長くなったが閑話休題。
「さっきも言ったけど、俺が聞きたいのは何で真冬が家に居るのかって事と学校はどうしたって事だけど?」
「もう…お兄ちゃんったら何言ってるの?今日は何の日だと思っているわけ?」
えっ…今日は何かの日なのか?何か特別な日だったっけ?臨時休校とかそういう感じだろうか?
分からない俺に真冬がそんな事も分からないのお兄ちゃん?という感じでドヤって言い放った。
「今日はお兄ちゃんの入学式だよっ!?そんな日におちおち学校なんて行っていられないよ?なんならお父さんとお母さんと一緒に私もお兄ちゃんの入学式に保護者枠で参加してたんだからねっ?何枚写真を撮ったと思ってるの!?写真の連写機能フル活用してメモリーカードも何個…いえ、何十個入れ替え―「嗚呼っ…分かった、分かったから真冬。その辺でな?」ぶぅ〜〜。もっと語りたかったのにぃ〜…」
真冬よい。お兄ちゃん…たまに思うんだよ。少し親愛の情が重くないか?と…。
いや、兄妹なら普通か?俺も真冬の中学校の入学式にはシャッターチャンスとばかりに写真を撮りまくってたしな…。
「と、とにかく…リビングへ行こう」
「このまま…連れて行って?」
いつまでも玄関に居るわけにはいかないので真冬を抱き抱えたままリビングへと移動。そこには父さんと母さんの姿が。
「おう、おかえり」
「ただいま、父さん」
「おかえりなさい」
「ただいま、母さん」
「あらあら真冬ったら…またお兄ちゃんに甘えちゃって…ホントあなた達は仲が良くて、私とお父さんみたいね?」
「こ、子供達の前で…照れるだろ?」
「照れてるところも可愛いわよ…あ・な・た♡今晩…どう?」
「…寝かせないぞ?」
「♡」
「いやいや…子供の目の前でそういうのは止めてくれる?」
親のイチャイチャを見せられてどういう反応をしろって言うんだ…全く。少し羨ましくあるんだけどな…。まあ、うちの親はこういう感じでこの世界では珍しく一夫一妻だ。
「ふっ…羨ましいのならお前も早く俺みたいに最愛の人を見つけるんだな」
「もう…あなたったら♡」
「お父さん!お兄ちゃんの最愛の人は私なんだからね?勿論私の最愛の人はお兄ちゃんだけだよ!」
「ああ。そうだったな。すまないな、真冬」
「真冬。あなたからもっと積極的にいかないと駄目よ?なんなら私とお父さんがシてる時にあなたもお兄ちゃんとシたらいいのよ」
「だ、だって…初めては…お兄ちゃんからシて欲しいっていうかぁ…♡ちらっちらっ♡」
うん。何を言えばいいのか、何から突っ込めばいいのか分からないな。それとな、真冬。ちらっちらっって口に出すもんじゃないとお兄ちゃんは思うぞ?
「嗚呼。そうそう、豊和」
「何、父さん?」
「お前のソレ、病気みたいなモノらしいぞ?さっきようやく連絡があったんだ」
「父さん…ちょっと待って?」
「んっ?」
「俺のソレって何?連絡って…誰から?」
「ああ、すまない。ソレっていうのはだな…今まで不思議に思った事はないか?何故女性から声を掛けられないのかと…」
「そりゃあ…思ってるけど…」
「お兄ちゃんには私が声掛けてるもん」
「ちょっと待っててな、真冬…。それで?」
真冬は頬を膨らませて、私いじけてるんですけどアピールをしているが俺は父さんに話を促す事に…。
「連絡をくれたのはお前が小さい頃に掛かったお医者さんで――」
父さんの話はこうだった。俺があまりにも女性から声を掛けられないのを不思議に思った両親が幼い俺をお医者さんへと連れて行ったらしいんだ。
…結局その時は原因が分からなかったらしくて…でも、そのお医者さんはずっと原因を調べていたそうだ。何年も何年もそれでつい先程連絡があったらしいんだ。原因が分かったって…。
「ええっ…と…マジで…言ってる?」
「ああ」
「じゃあ…俺は…」
「ああ。父さん、母さん、それに真冬にはお前がちゃんとイケメンなのは心が綺麗だから分かるんだけど」
「他の人には…心が綺麗な人以外には超絶不細工に見えるって事なのっ!?」
「その通りだ」
おいおい…。それっていわゆる美醜逆転世界じゃないのかよ…。道理で声が掛からないわけだよな…。今まで悪口言われなかっただけでも奇跡だよな?親友のお陰かな?
とにかく…ホント…色々とおかしい世界に転生させてくれたもんだよ…神様は…。
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