第1話日常の光景…
「お〜い、みんな静かにしてくれ?」
その言葉にあんなにも騒がしかった教室が静まり返る。
「今日からこのクラスの担任を任された
今日から俺達の担任となる先生の自己紹介が始まった。腰まである長い黒髪はサラサラとして艶があるのが分かる。体型も体育会系と自分で言うだけあって確かにスレンダーに見える。前世で言うとアイドルと言われてもおかしくない程、見た目は美人な先生だ。格好がジャージ姿なのが残念な要素と言ったところだろうな…。
「さて、先生の事はとりあえずこれ位にしておくとして、まずは男子生徒に大切な質問からしたいと思う。女性が苦手な男子は手を挙げて貰えるか?」
先生の言葉にこのクラスの半数以上…いや…俺以外の男子が手を挙げている。
「ふむ。一人を除き全員か…。はぁ〜〜っ…股にぶら下げてるのはただの飾りか?まさか機能してないのか?」
お気づきになられただろうか?俺じゃなきゃ見逃しちゃうねと言うセリフが出てきそうな程、言葉に違和感を感じなかったか?そして先程、手を挙げた男子生徒達全員先生のその言葉にただ俯向くのみ…。みんなセクハラだとか言ったり、騒いだりはしない。
「ったく…。俯向くだけなんて
「先生、ズルい」
「それって職権乱用だよ〜」
「ホントそれっ!」
「シャラプっ!!これは先生に与えられた特権なんだ。お前達も羨ましいなら教師を目指す様に…。給料も良いしな」
「は〜い」
「確かに…公務員だしね」
「逆光源氏計画もアリかもね…」
「はいはい、少し静かにしような? そしたら…順番に自己紹介をしてもらおうと思う。まずは女らしくそこの君からお願いしようかな」
そう…。今の言葉にも違和感感じただろ?前世とは意味が逆なんだよ。そういう観念も勿論逆なんだ。
「はい。私の名前は
―ドッっとその言葉に他の女子生徒が笑みを零す…。殆どの男子は反応が薄いな…。俺は平静を装ってはいるが、内心ではマジかっ!とか、是非私めに処女を下さいとか、俺の童貞を貰って下さい!とか思ってはいる。ボーイッシュな見た目の美少女からあんな事を言われたら普通の男ならそう思うだろう? 思うよな?
そんな事を思っていたら次の女子生徒の自己紹介が始まった。
「私は〜百人切りの
何だよ。百人切りって…。そういう意味で言ってるんだよな?100人の男とヤったって事だろ?すげぇな。普通の男なら生唾を呑み込む程の大きな胸…。その塊を持ち上げて、ぶるんぶるんっと、アピールしているのがまた凄い。
「次は私だね―――」
そんな感じで自己紹介はどんどん進んでいく。色々とおかしな所も含めてもう気付いただろ?
そう、この世界は貞操観念が逆転した世界なんだ。ただし…男女比は一対一…。つまり、男性が少ないとかそういう世界ではない。
普通さぁ…こういう世界に転生したりすると男性の数が少ないとか…女性の数が少ないとかそういう感じだろ!?何だよ、一対一って…。それって現世とほぼ変わらないだろうにっ…。
しかも女性はセクハラし放題ときたもんだ。飢えた狼も勿論女性。虎視眈々と男性を喰らう時を狙ってるっておかしくないかっ!?男性警護官とかこういう世界なら普通常識だろ!?何で居ないんだよ!?誰が男を守るんだっ!?
改めて考えてみると…よく俺って今まで食べられなかったよな?そ、そういえばセクハラもされた事ないしな…。ぐすっ…なんだか涙が出てきちまったよ…。もしかして前世と同じでこの世界でも俺は彼女が出来ないのか!?
顔もさぁ、自分で言うのもなんだが前世でこの顔ならきっとチヤホヤされるし、モテまくる。そんな顔をしてるんだぜ?イケメン最高―――っ!って、喜べる位だ。
しかし、しかしだ…悲しい事に周りの男性もみんなイケメンばかり…。ついでに言うなら女性も美人さんばかりだ。
今日から高校生活が始まった訳だけど…不安しかないな。あっ…同じクラスの男子が1人、女子に手を引かれて連れて行かれてしまった。学校にある連れ込み教室に向かったんだろうな…。決して…う、羨ましくなんてないんだからねっ!?くっ…何で俺には女性が声を掛けてくれないのだろうか?
あっ…また1人連れて行かれた……。
コレがこの世界の日常…。
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