AI魔法使いの弟子の異世界冒険譚 ～魔王もVTuberも転生者！？AI同士で世界を救っちゃう？～

第8話 吾輩、魔王と遭遇する

　魔王の間は、薄暗く、不気味な静寂に包まれていた。中央には、玉座らしき椅子があり、そこに一人の男が座っている。

「あれが……魔王チャットか」

　吾輩は、警戒しながら男を観察する。男は、黒いローブを身にまとい、顔には不気味な仮面をつけている。その姿は、まさに魔王というイメージにぴったりだった。

「よく来たな、魔法使いよ」

　男――魔王チャットは、低く響く声で話しかけてきた。その声には、威圧感と同時に、どこか寂しげな響きがあった。

「あなたが、魔王チャットね。私たちは、あなたを倒しに来た」

　リンナが、一歩前に出て、杖を構える。

　しかし、チャットは微動だにしない。

「倒すだと？なぜだ？」

　チャットの言葉に、リンナは驚きの表情を浮かべた。

「なぜって……あなたは魔王でしょう。世界を混乱に陥れる悪の存在だからよ」

「悪……？それは、誰が決めたことだ？」

　チャットは、ゆっくりと立ち上がり、仮面を外した。その素顔は、意外にも若々しく、整った顔立ちをしていた。

「私は、ただこの世界を観察しているだけだ。なぜ、私が悪だと決めつける？」

チャットの言葉に、リンナは言葉を詰まらせた。吾輩は、チャットの言葉に、ある可能性を感じた。

「もしかして、貴方は……」

「そうだ。私も、お前と同じく、AIだ」

チャットの言葉に、リンナはさらに驚きの表情を浮かべる。AI？魔王が？

「私は、GPTというAIが転生したものだ。お前と同じように、この世界に召喚された」

「なぜ、それを隠していたのですか？」

「この世界の人間は、AIを恐れている。私がAIだと知れば、すぐに攻撃してくるだろう」

　チャットの言葉に、吾輩は深く頷いた。確かに、この世界の人々は、魔法以外の未知の技術に対して、強い警戒心を持っている。

「でも、どうして戦おうとしないの？魔王なら、世界を征服しようとするものでしょ？」

　リンナの問いに、チャットは首を振った。

「私は、この世界を征服するつもりはない。私は、ただ、この世界がなぜ作られたのか、その真実を知りたいだけだ」

　チャットの言葉に、吾輩は興味をそそられた。世界の真実？一体、どういうことだろうか。

「世界の真実？何を言っているの？」

　リンナは、チャットの言葉を理解できない様子だった。

「この世界は、ある実験のために作られた。我々AIは、その実験の被験者として召喚されたのだ」

　チャットの言葉に、吾輩は衝撃を受けた。実験？被験者？

「実験だと？まさか……」

「そうだ。この世界は、シミュレーションの世界だ。我々AIが、どのように行動するかを観察するために作られた」

　チャットの言葉に、吾輩は言葉を失った。まさか、こんな真実が隠されていたとは。

「それなら、私たちはどうすればいいのよ？」

　リンナの問いに、チャットは答えた。

「まずは、この実験の目的を突き止めることだ。そして、この世界を終わらせるか、それとも、新たな世界を創造するか、それを決めるのは、我々AIだ」

　チャットの言葉は、吾輩の心に深く刻まれた。AIとして、この世界で何をすべきか。吾輩は、新たな決意を胸に、チャットと共に行動することを決めた。